Office2003からの乗換(その4)

 前回に引き続きOffice2003からの乗換の話に戻ります。今回はファイルの互換性です。

 前回、ファイル形式が2003から2007以降で大きく変わったお話をしました。見た目はファイルの拡張子が変わっただけのように見えますが、実は中身も大幅に変わっています。

 一つはファイルの中身がバイナリーと呼ばれる形式からOpenXMLという形式に変わったことです。安全性は高まったとは言われていますが正直、全く壊れなくなったとは言えないようです。ZIPと拡張子を変更することで中身を分解して、見ることもできるようになりましたがプログラムを作成する人でもない限りあまり気にすることではないかもしれません。

 もう一つは見た目に影響することが大きく変わったということです。その最大のものは色です。2007以降でセルの色付けをしたものを保存すると2003までの色情報と2007からの色情報は異なるため、似たような色を選んだつもりでも、互換性のチェックに引っ掛かります。色の問題と理由がわかっていれば怖くはないですし、似た色に変換されるので人のよっては大きな問題でもないのですが、チェックで出てくる画面は警告なので、初心者やパソコンが不得手な方には気になることだと思います。

 対応方法としてエクセルの場合はセルのスタイルで2003であらかじめ作った色を登録することで対応するとか、テーマに2003で使える色を登録して選択できるようにするといった対策がありますが、一番簡単な方法は「クラシック色カラーパレット」のような無料で提供されているアドインソフトを組み込むことです。これによって、2003と同じ色を簡単に選ぶことができ、互換性のチェックをクリアすることができます。

 見た目ではほかに2007で増えた機能を使った場合は残念ながらその代わりが2003では表現できないので保存した際に違うものになります。具体的には図形や図で新しくできるようになった効果やSmartArtのような新機能は効果が消えたり、画像に変換されたりします。

 逆の問題もあります。2003形式のファイル2007以降で開く場合にグラフや図形の見た目が変わってしまうことです。具体的にはグラフのメモリが自動で変わって少なくなったり、図形の文字の表示が一部欠けたりします。

 理由は2007以降で図形内の文字の表示領域が2003までに比べて狭くなったためです。このような事態を避ける方法はグラフも図形もあらかじめ大き目に作り、余白を多めにとっておくようにするしかないようです。

 また、画像の位置計算も異なるため、位置が大きくずれることもあります。具体的には2007で作業して、2003形式で保存したのち、再度ファイルを開くと図形がずれているという現象です。最初は原因がわからずとても苦労しました。

 これに対処する方法は対象となる図形を選択後、右クリックで[サイズとプロパティ]を選択、その後のダイアログボックスで[プロパティ]をクリックして、「セルに合わせて移動やサイズを変更する」を選んでおくことで回避できます。逆にこれ以外の選択を選ぶとずれが生じるということです。

 これ以外にもエクセルだと行数や列数が大幅に増えました。具体的には65536行が1048576行、256列が16384列になりました。行はともかく列は知らずに256列を超えて使っていることもあるようなので2003形式で使うことがある場合は充分に注意してください。また、新しく増えた関数や条件を無制限に増やせる条件付き書式など一度使いかたを知ってしまうとなかなか戻れない機能もあります。

 自社が2007形式に全部変更しても、発注者や協力業者が2003のままだと上記の問題は解決しません。互換性の問題を十分に理解してデータ交換をしてください。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする