今回もWindows10でよく相談を受ける話や特徴を紹介します。
(2) 最後のWindows
マイクロソフト社の社員がWindows10はWindowsの最後のバージョンとなり、今後は大幅アップデートで対応するとの発言をしています。これは、ソフト開発者が3年ごとに変わるWindowsのための対応の負担が大きいことを踏まえてのことだという話です。
XPからVISTAは少し空きましたが、だいたい3年ごとにWindowsは新しいバージョンがリリースされてきました。この新しいOSになるたびにソフトウェアの動作確認を行ってきました。見た目以上にシステム的に変化があり、結果として作り直しを余儀なくされたソフトウェアも少なくないと思います。その苦労を少しでもなくそうというのが今回の目的のようです。
実はこのような対応は既にアップル社がとっています。アップル社のOSである「Mac OS X」は2001年に最初のバージョンが出てから、14年以上たってもその名称は変わっていません。しかし、なかみは既に11回大幅バージョンアップを行っており、2015年9月にOS Xv10.11を発表しています。そして、前回お話ししたバージョンアップ無料もアップルはこの「OS X」で適用しています。
ただし、アップル社はハードウェアがセットであり、ソフトウェア単独であるマイクロソフトは背景が違います。しかし、共通していることはたぶん、OS(基本ソフト)ではなく、付随する応用ソフト(アプリ)やサービスで収益をあげるモデルへ変わっていく布石を打っているのだと思います。3年に1回しか売上の上がらないOSより、毎月低額でも支払ってもらえるサービスのほうがビジネス的によくなっているのはスマホアプリで成功している企業を見ればわかると思います。実際、サブスクリプションという形態でOffice365が販売されており、以前より積極的に他のOSのOfficeを提供していることから売り切りから月額払いにシフトしていくのではないでしょうか。とはいえ、最近はSurface等のハードウェアも販売しているので少し混とんとした感じになっています。
また、最後のWindowsであることと関係あるのかわかりませんが、今回初めに登場したのはアップグレード版で、後からパッケージ版が発売されました。従来は新規インストールをするパッケージ版が出る「発売日」が先に来てからアップグレードの話があったのですが、逆になっているのが特徴です。ネット経由での配布が先になる感じが今後の展開を予感させます。
上記を踏まえるとマイクロソフトも半永久的にネット経由でバージョンアップがいつでも無償でできるのかというとそうでもないようです。Windows10のサポート期限が2025年10月14日とマイクロソフトが明言しているからです。ただし、これは2015年7月リリース分と限定的な表現をしているのがあやしいです。もしかすると大幅なバージョンアップが実現した場合、そのバージョンのサポート期限が変更になるかもしれません。実際、Windows8と8.1がサポート期限が同じですが、Windows8が発売された2012年から10年後ではなく、Windows8.1の発売された2013年から10年後(正確には9年と3ヶ月)となっているので今後の対応はよく見ておく必要があります。
いずれにしても最新バージョンにしておかないとサポート対象にならないのは変わらないですから、バージョンアップはきちんと行う必要があります。また、ハードウェア的にもつかどうかというと使用頻度や使用環境によっては10年より短命になると思うので、一般的なユーザーはしばらくはあまり気にしなくてもいいかもしれません。