今回も引き続き建設業におけるクラウドサービスについてお話しします。今回も具体的なサービスの利用例についてお話しします。
初回のオンラインストレージと二回目のWebメール、SNS、グループウェアで多くの現場作業は便利になると思います。ファイル中心であれば、オンラインストレージを利用し、報連相中心であれば、メールやメッセージツール、グループウェアを利用すると即時性や同時性で情報伝達が可能になります。
では、ファイルなんだけど、同時に複数人の人に情報を共有する即時性を確保するにはどうすればいいでしょうか?この答えがクラウドアプリ(ドキュメント系)の活用です。
3.クラウドアプリ(ドキュメント)の活用
クラウドアプリそのものはいろいろなサービスがあります。今回はその中でもドキュメント系のアプリの利用を紹介します。
例えば、現場でコンクリート打設をしていたとします。事務所で随時進捗状況を確認し、状況に応じて手配へのアドバイスをしたいとします。
従来であれば、現場で野帳に記録した進捗を携帯電話を使って報告し、事務所側でもそれを聞き取ってメモもしくはパソコンに入力して記録を取っていたと思います。
オンラインストレージサービスを利用するならば、スマホもしくはタブレットに入っているデータをストレージサービスに保存し、更新のアナウンスがパソコンに表示されたのを見るか、LINE等のメッセージツールを使った更新を知らせることで中身を見るという流れになると思います。
これが、ドキュメント系クラウドアプリを利用すると入力したものがほぼリアルタイムにほかの共有設定を行った人たちが閲覧することができます。具体的にいうと、現場と事務所だけでなく、コンクリート会社の生産担当や生コン車の配車担当、発注者の現場担当者、本社の技術担当者にもです。
なぜならば、オンラインストレージサービスやメッセージツールと違い、ブラウザだけで利用できるため、設定がほとんど不要なためです。サービスを利用するための会員登録と共有するファイルの設定だけです。
代表的なクラウドアプリであるGoogleドキュメント(文書作成)、Googleスプレッドシート(表計算)、Googleスライド(プレゼ資料)の場合、ワードやエクセルにある高度な機能はないですが、基本的な表計算はもちろん、クラウドサービスならではの機能もあります。
例えばGoogleスプレッドシートならセル単位で複数の人が更新されます。ネットワーク環境次第ですが、数秒単位で自動更新をしてくれますので画面を開いておくだけで刻々と情報が入ってきます。こちらから指示できるような列を作っておけば、更新情報に対してコメントを書くことも簡単です。また、コード化をしておけば、記入ミスも少なく、VLOOKUP関数を組み合わせれば複数の決まった情報も一気に記入することができます。
さらにフォームを組み合わせれば、チェックボックスやプルダウン、ラジオボタンといった組み合わせで入力補助ができますので、入力速度もあがりミスも減らすことができます。
共同作業が簡単にできるということは議事録のように複数人の同時に編集できると望ましい場合は特に便利です。書記が書いた内容をその場で確認しながら、内容に不備があれば修正すればOKです。さらにGoogleドキュメントの場合はGoogle Chromeというブラウザを通して使えば、音声入力も可能なので、直接しゃべって記録してもらうことも可能です。スマホであれば、アプリにスマホの音声入力が利用できますので、イヤホンマイクを使って、キーボード入力なしに文字を入力することも可能です。本人の言葉で記録できるのですから議事録としてこれほど確かなものはありませんよね。
ただし、どちらもある程度リアルタイムに入力できるスキルが必要です。不慣れな人だと入力に手間がかかるかもしれません。その場合は数字のみで対応できるような準備(コード化やフォーム化)を行ってあげる必要があります。
ファイルとして保存されますので、いつでも参照可能です。もちろんパソコン上に保存する際にエクセルやワードの形式になりますので、最終的な資料作成はいつもの慣れたソフトで行ってもらっても大丈夫です。
マイクロソフトにもOffice Onlineというクラウドアプリがありますが、残念ながら商用利用(業務利用)は有償なので、社内はともかく社外の人まで巻き込んで共有を構築するにはちょっと難しいです。個人利用は無償ですがその点を留意してください。