建設業におけるIoT

IoTはご存知ですか?Internet of Things(モノのインターネット)の略です。

定義はあいまいで、物がインターネットにつながるとか、物がインターネットのようにつながって、相互に制御し合うとか、それによって実現する世界を含むとか言われています。一般的には

・モノの状態・情報を把握するセンサーがついて
・インターネットを介して、クラウド上にデータが保存され、
・人工知能もしくはプログラムで分析・処理され、
・結果を人に示すもしくはモノを制御する

といった動きをするものを示すようです。では、最近なぜ注目され始めたのか。それは大きく2つの要因があります。一つは技術革新によるセンサーの小型化・低価格化です。もう一つはクラウド上でのサービス、特にAIの進化による大量データ(いわゆるビッグデータ)の処理が可能になったことです。

センサーは昔からあるものも少なくないですが、大型で高価でした。また、取得した大量のデータを処理するコンピューターも高価であり処理には専用のプログラムや大容量のハードディスクを自前で準備する必要がありました。

これらの問題がスマートフォンの普及によりネットが高速化大容量化して、ビッグデータやクラウドサービスを生み出し、さらにスマートフォンだけでなくウェラブルデバイスと呼ばれる体に装着する機器の発達でセンサーも大量生産、高度化が進みました。

みなさんはピンと来ないと思いますが、今は当たり前のようについているスマートフォンの3軸ジャイロですが、一昔前はロケットかミサイルの制御装置に使われている程度でとても高価で利用が限定的なものだったのです。今のものとは仕組みや精度は違うと思いますがゲームのコントローラーやカメラの手ぶれ防止にも使われています。2010年のiPhone4 に使われていると発表があったときには昔を知っている人はかなり衝撃的だったと聞いています。これ以外のセンサーも高価だった時代が信じられないような安さになっています。40種類ぐらいのセンサーがamazonで4000円ぐらいで売っているんですからね。

スマートフォンだけでなく、太陽光発電の普及からバッテリーの小型化が進み、太陽電池の小型・高性能化も加わって電源を設置不要な仕組みができるようになったのも大きいです。従来なら設置できないような狭い場所や電源から遠く離れた場所でも簡単に測定できるようになったからです。結果として、IoTが身近な存在になってきたのです。

さて、建設業ではIoTはどのような場面で使われるのでしょうか?

センサーによりトンネル・斜面の形状変化計測や閉鎖空間の各種環境情報(粉塵、ガス)を収集し、一次管理値、二次管理値といった管理を超えるかどうかは以前からありましたが、IoTでは一歩進んで過去実績からAIが予測し、警告を出せるような仕組みが考えられています。

また、GPSによる建設車両の位置情報だけでなく、稼働状況も通知し、故障前に点検予測ができるようになるとか、ヘルメットに気温・湿度センサーをつけて、過去の熱中症対策、ICタグによる位置情報からの労務管理や作業進捗を踏まえた作業指示なども既に実用化されて、実際の現場で使われています。

さらに、センサーから情報を受け取るだけでなく、自動制御機能を搭載したブルドーザーや油圧ショベルも既に出ており、ベテランでしかできなかった、均しや法面整形なども初心者でもできるようになる仕組みが実現されています。

ドローンと組み合わせて、地形を読み取り、センサーで土壌を確認して最適な形状に重機自身が法面を切り直すといったこともそう遠い未来のことではなさそうです。労働力不足に悩む建設業界には希望の光ではないでしょうか。

まだ、各社が独自に進めていることが多く、データ・制御の標準化や連携などの仕組みは今一歩のようですが、取り組みは進んでいるようです。未来の建設現場がより楽で楽しい職場になるために興味のある方はぜひ、いろいろな実例を調べてみてください。「IoT 建設」でいろいろ出てきます。

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