建設業におけるクラウドサービス

今回から建設業におけるクラウドサービスの利用についてお話しします。

前回のIoTでも少し触れましたが、クラウドという言葉は多く聞かれるようなりました。しかし、いまいち内容にピンときていない方もいて、よく支援先や相談窓口で質問を受けることがあります。

クラウドサービスを話す前にまずクラウドコンピューティングのことを話しておく必要があります。

クラウドコンピューティングとは、コンピューターネットワークを基本としたコンピュータ資源の利用形態の一つと書かれています。この言葉自体は2006年頃GoogleのCEOの発言が最初といわれおり、
まだ10年程度しかたっていません。

このクラウドという言葉はもともと「雲」を意味しますが、いろいろな端末から接続する先にあるネットワーク、特にインターネットを図であらわす際に雲マークを利用していたところからきているようです。

クラウドサービスはこのクラウドコンピューティングのもとで提供されるサービスのことで一般的にはインターネットを介して提供されています。

しかし、昔からあるクライアントサーバーシステムもネットワークを利用しています。大きな違いがわかりにくいですよね。もう少し詳しく見ていきます。

最近のクラウドコンピューティングの特徴は、仮想化技術により必要な分だけいくらでもコンピューターの能力が利用できるという点にあります。これは従来のクライアントサーバーシステムであれば、サーバーの能力を決めることはとても重要でした。システムの性能を左右するといっても過言ではない時代もありました。しかし、クラウドコンピューティングでは、高性能コンピューターの部分的な利用も複数台を連動させた利用も可能になりました。しかもそれが大きな手間もなく変更することもできるようになっています。

この使いたいだけ使う形態を水道や電気のように見立ててユーティリティコンピューティングといいます。これもクラウドの一つの特徴です。

これは単独の企業ではなかなかできることではありません。ましてや中小企業では無理です。しかし、クラウドサービスではたとえ数人の企業でも利用することができるのです。

結果として、サーバーやその基本ソフト(OS)を準備しなくてもよければ、最新版管理もおまかせ。利用スケールも小さく初めて大きくすることも可能で、保存容量すら変化対応可能。バックアップも設定と費用さえ見れば、複数の遠隔地での保存も可能になり、システムそのものも仮想化で移しやすくなっています。

ユーザーがハードを持たなくてもいい、状況によってはソフトすら持たなくてもいいというのがクラウドサービスです。ソフトのインストールがいらないなんて昔からは考えられないことです。

初期コストが低いのも魅力です。稼働コストは自社開発よりは増えると思いますが、提供されるサービスや管理コストを考えると決して高いとは言えません。中には無料のサービスもあるので、自社開発では到底コスト的に勝負にならない状態の場合もあります。

もちろん、デメリットがないわけではありません。基本的にはインターネットの利用を前提としているため、ネットが切れるとサービスが利用できません。たとえ、隣の人に情報を送るだけにしてもです。(まあ、その時は紙でいいとは思いますが・・・)

セキュリティ面でも心配ですよね。外部にデータを送信したり、保存したりするのですから。でも、中小企業でセキュリティ対策が万全かというと「う~ん」といった感じではないででしょうか。

また、サービスを提供している企業がそのサービスをやめてしまうと当然利用できません。最近は様々な企業が同様のサービスを提供しているので、少し手間をかけて移し替えれば、オフコン時代のように何ともならない状態というのはありません。(オフコン時代はオフコンというハードがなくなることもさることながら、そのうえでうごくソフトもなくなり、作り直しを余儀なくされたケースが多くあった。)

オフコンの時代と違うのは利用されている技術が公開された標準規格かオープンソースと呼ばれる中身のわかるソフトで作られていることが多いためです。そのため、類似サービスを作りやすく競争も盛んでサービスの低価格化にも貢献しています。

次回はもう少しサービスの内容を説明したいと思います。

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