今回も引き続き建設業におけるクラウドサービスについてお話しします。今回も具体的なサービスの利用例についてお話しします。
4回目の今回は作業管理です。といってもスケジュールソフトを使うような工程レベルのものではなく、もっと、簡単ですぐ終わるけど忘れると困るような大事な作業の管理です。
4.クラウドアプリ(タスク・Todo)を使った作業管理
現場では、必ず工程表を引きます。大きな現場はもちろんのこと、小さな現場でも関係する人、企業が複数にわたるため、調整が不可欠だからです。
その内容は工期や監督のスキルによって詳細レベルが変わりますが、半日単位より細かいレベルではあまり書くことはありません。もちろん、大量のコンクリート打設などは時間単位での詳細な計画が立てられますがごく一部です。
今回の対象作業はそれよりもずっと小さなレベルです。時間単位、分単位での考える作業内容です。専門用語でいうと単位作業もしくは要素作業と呼ばれるレベルのものです。当然、ひとつずつは独立した作業ですが、関連性があり、前の作業を終わらせないと後の作業ができないようなものです。
現場の場合は一人で完結しない小さな作業が多くあります。社内だけでなく社外の人も巻き込んだものあります。例えば、材料の発注で大きく、重いモノだと「現場から材料業者に納期を聞く」「業者が納期を確認し返答する」といった一般的なことで終わりません。「現場から材料業者に納入方法(車上渡し、軒下渡し)の対応を聞く」で、もし車上渡しなら「現場が車上渡し用にクレーン手配を連絡する」「クレーン業者から車両の入る時間の連絡が来る」となり、受入場所によっては、「警備会社に搬入車両の予定を連絡する」といった内容につながっていきます。さらに材料業者側に運搬ができないようなものであれば、「運送業者へ形状と重量を伝え、対象となる運送車両を準備してもらう」といった作業に発展していきます。
朝礼や昼の打ち合わせで済ますこともできるもののもあれば、数日前から準備することもあります。また、大きな現場だと材料手配と車両手配の担当が分かれている場合もあります。
このような現場で建設に直接かかわる工程ではないが、複数の人が関わる重要な作業を管理する際にクラウドサービスでのタスクやToDo管理が役に立ちます。一人でやる場合でもクラウドサービスで登録しておけば、現場での事務所でもどこでも見ることができますし、指示として、主任が作業を記載して、係員が実行するといった複数の人間がかかわる場合もタスク情報の共有を行うことで簡単にできます。
また、タスク管理サービスでは終了したかどうかをチェックできる機能で確認しやすいですし、数日前に登録してもリマインダー機能で直前のお知らせをしてもらえたり、遅延している作業は警告を出してもらうことも機能で実現できます。単なるメモ的なものとはちょっと違うところです。
ある程度繰り返し行いそうな作業はパターン化しておくことで、作業漏れをなくすこともできます。再利用は電子化した後の最大のメリットですからね。当然、後輩や新人への助けにもなります。会社全体でできれば、なおいいのですが、サービスの利用にITが不得手という大きな壁があるため、できる人から少しずつ広めていくというのが一般的なパターンでしょう。
材料手配だけでなく、官公庁への届出や各種施工書類といった文書作成や出来形査定から出来高算出、業者との打合せといった支払手続きにも利用することができます。現場に行って、測量や写真撮影、業者への指示といった工事管理のメイン業務以外の細やかな作業をもれなく無駄なくこなすにはタスク・ToDoサービスを利用するのはとても有効だと思います。
作業管理が苦手だと思うかたはぜひお試しください。