前回に引き続き、自社の公式サイトを構築するための基本方針についてお話しします。
前回はサイトの技術的な環境についてお話ししました。今回は継続的に掲載内容を更新するための運用体制についてお話しします。
(6) サイトの運用体制
多くの企業で、せっかく作った公式サイトが本来の目的を達成していない大きな理由としてサイトの運用体制がきちんとできていないことにあります。
最初に潤沢な予算や人手があって、数年そのままでも耐えうる掲載内容があればまだいいのですが、「小さく始めて大きく育てよう」の想いで、小さく始めたのはいいですがそのあと育てず(更新せず)に小さいままのサイトが少なくありません。
このような事態にならないように基本方針の段階でどのような更新を誰が行うのか、どのような手順で行うのかを決めておくことが必要です。もちろん、バックアップといったデータ管理やお問合せメールへの対応もあわせて方針を決めておきましょう。
バックアップやメール対応は自社でおこなうことが原則ですが、掲載内容の更新に関しては大きく3つのパターンがあります。
(a) 文章、写真、掲載を自社ですべて実施
写真を撮影し、文章を考え、サイトに掲載できるようにHTMLを作成するか、WordPress のようなCMSを操作して掲載準備を行っていくパターンです。
自社で自由に頻度も内容も調整できます。思った通りのことをいつでも掲載できるのが魅力です。スマホを利用すれば、カメラで撮影して、音声入力で作文し、アプリで掲載といったことも可能なので、何かそろえなくてはいけないことはあまりありません。ただし、撮影、作文、掲載の各スキルが必要です。
(b) 自社で文章と写真を作成、制作会社が掲載
写真を撮影し、文章を考えることろまでは自社で行い、制作会社に掲載をお願いするパターンです。
この場合は、デジカメとワードでの作成でもOKなので、既存のパソコン環境で準備ができます。写真や文章も校正を制作会社に依頼できれば必要なスキルもずっと少なくなります。ただし、リアルタイムにすぐに掲載というわけでないので余裕を持った準備時間が必要になります。
(c) 制作会社に全部依頼
掲載したい概要だけ考え、写真は撮影してもらい、文章もヒヤリングをしてもらって考えてもらい、掲載もお願いするパターンです。
負担感が少なく、スキルは不要です。ただし、費用は一番高くなりますし、掲載までの時間も一番かかります。文章や写真が想いと合わない場合は訂正を何度かお願いすることもあり、ページ作成後すぐに公開とならない場合もあります。
上記の3つのパターンはどれか1つを選ぶわけではありません。例えば、は公式ブログ(社長ブログ、店長ブログ、担当者ブログ)のようにリアルタイムが重要で、できれば、自社の生の声を届けるほうが想いが伝わりやすいものは(a) で行います。簡単なお知らせもこのパターンでいいでしょう。
写真を使うような施工実績やイベント情報といった時事的だけど準備をそれなりに行う内容については(b) のようなパターンを利用すると見栄えの良いページをつくることができます。施工実績のように掲載パターンが決まっている場合は、掲載用の専用ツールを準備してもらい自社で更新することも考えてもいいかもしれません。WordPress であれば、カスタム投稿という機能を使うと実現可能です。
最後のパターンは変化がほぼない会社案内や年に1回更新すればよい求人募集といった固定されたページに対して利用します。これらは会社の基本となるページなので、できるだけ統一感のあるものにすることが望ましいからです。
どのパターンをどのように組み合わせるかはスキルレベルによって変わりますが、1つに絞らず、自社でできる部分を増やしていくことをお勧めします。