前回に引き続き、自社の公式サイト構築に関するお話をします。今回は公式サイトの目的とその内容です。
公式サイトを構築する目的はいろいろあります。今回は一般的な目的として3つを紹介します。役割と似ている部分もありますが、顧客視点というところで少し変わっています。
(1) ブランド・企業価値向上
まずは既存顧客や施工協力業者、材料取引業者等の関係者、周辺住民に自社をよく知ってもらう目的です。自社の歴史や技術、施工実績、過去受注した発注者名等の掲載内容を通して、自社の実態を知ってもらいます。今後、安心してより多くの取引をしてもらえることが最終的な目的になります。
売上高や会社概要により関係者へ取引に対する安心感を得てもらう場合もあります。安心感という意味では主要金融機関を掲載している会社も多いですね。
カラーや写真によって企業価値やブランドイメージを印象付けることができるので、デザインはとても重要になります。コーポレートカラーがあれば、そのカラーをもとにしましょう。ロゴがあるとなおいいと思います。
ただし、デザインだけでコンテンツ(掲載内容)が少ないと見た人が本当にほしい情報が提供できていないという点でマイナス評価になります。上記に記載したような内容にブランド・企業価値を向上させることを意識した写真や文章を掲載してください。
自社を知ってもらいたいという点ではブログを使ったお知らせも有効です。社長や社員の方からの情報発信は何より自社の現実を知ってもらうことができます。できるだけ、発信者を固定せずにインタビューといった形でもいいのでいろいろな社員の声を載せましょう。とはいえ、あまりフレンドリーな内容(社内の飲み会の様子等)を書くと印象が悪くなる場合もありますので注意が必要です。
(2) リード(見込み案件)獲得・問合せ
ここでいう、リード(Lead)は導くというよりきっかけ、糸口という意味で一般的には見込み案件のことをいいます。要は公式サイトが飛び込み営業の代わりをやるということですね。
(1) での目的は既存の関係者が中心になりがちですが、こちらは新規の取引業者や発注者に情報を提供することが中心となります。そのために単なる工事実績だけでなく、工事成績評価やお客様の声といった第3者の評価を掲載することで、初めての方でも自社との取引によるメリットを感じてもらいます。
この目的でサイトを作成している企業は多いと思いますが相手のニーズに応じた情報が提供されていないことが多いです。単に技術情報の提供や施工実績だけでなく、どのような点で自社が発注者や現場に貢献したかといった視点での監督の声などが必要です。「この会社と取引したい」と思ってもらうための情報を掲載しましょう。
また、実際に問合せするならばどこのだれにいつ連絡すればいいのかを明示しておくことも大切です。営業時間(問合せ時間)や担当者名、連絡方法(電話・FAX・メール)、自社への直接訪問時のアクセス方法(特に公共機関を使った場合)といった情報を掲載しておく必要があることを忘れないでください。
(3) ダイレクトレスポンス向上
こちらは(2) と似ていますが、ダイレクトレスポンス、つまり、情報の受け手に直接返信・応答することが主な目的です。ネット営業といったものになります。
テレビ・ラジオ・新聞・雑誌広告といったマスメディアやチラシのような1対多のような広告媒体ではできないネットならではの対応です。
この対応は単なる問合せフォームを受信して、その後はメールや電話等で応対する(2) とほぼ同じ機能でのレベルもあれば、会員制サイトのような形をとって、サイトの機能の中で顧客と取引のある程度詳細までやりとりすることができるようにするレベルまでいろいろあります。レベルによって準備すべきサイトの仕組みが変わってきます。
顧客は企業へ訪問もせず、営業時間も気にせずに情報交換ができます。担当者も自分の業務都合で対応可能になるので便利ですが、休日夜間関係なく送られてくる内容をあまり期間をあけずに対応するのはなかなか大変です。公式サイト構築だけでなく社内にしっかりとした応答体制が必要になります。これが欠けるとせっかくの仕組みも有効に活かせません。
新規契約はもちろん、クレームやアフターサービスへの対応といった場合もこの延長上にあります。スムーズなやりとりには問合せフォームの最適化(顧客の問い合わせニーズに応じた項目掲載)が不可欠になります。価格を知りたいのか、技術情報がほしいのか、クレームをいいたいのか、アフターサービスの相談なのかによって聞きたい内容は異なります。これらをわかりやすく伝えてもらえるように項目を設定できることが望ましいです。
また、この目的の場合、当然やりとりがメールやサイト内の書込みスペース等を介して顧客と行うことになるので、担当者の交渉スキルだけでなく、ITスキルや文章作成スキルなど様々なものが必要になります。「口頭でなら簡単なんだけど書くのはね・・・」という企業には敷居が高いことも忘れないでください。
応急処置的な対応として、よくある質問といった形でトラブル事例への対応や契約の流れや無料となる範囲(見積まで等)といった顧客側が自己解決できるような情報を提供することで本当に必要な問い合わせを絞り込むような対策をとることもあります。こちらも実例に応じて、できるだけ充実させていく仕組みづくりを意識してください。
(1)から(3)になるにつれて、単なる公式サイト構築から社内の営業の仕組みにまでかかわってくることがわかると思います。このあたりをよく理解し準備していないと目的に沿ったサイトが構築できない、つまり結果がでないことを覚えておいてください。