現場で役立つエクセル操作【番外編】(その7)

前回に引き続き、知っておくとちょっと便利なエクセル操作に関するお話しをします。

前回のPower Pivot、前々回のPower Queryは新しい機能でしたが2016では標準機能となったものです。今回紹介する機能はExcel97の時代からあったものの2016になっても標準機能ではなく追加機能として提供されているものです。

一つは分析ツールです。この追加方法は[ファイル]タブの中のオプションをクリックして、出てくるウィンドウの中からアドインをクリックします。下の設定ボタンを押すとアドインというポップアップ画面が出るので分析ツール、分析ツール-VBAにチェックを入れてOKをクリックしてください。これで準備が完了です。

データタブの右端にデータ分析というボタンが増えたことがわかると思います。2003まではボタンが増えるだけでなく、エクセルの関数自体も分析系の関数が増えていました。逆にいうと2003までで分析系の関数を使うためにはこのアドインをオンにしないと関数が使えなかったのです。このことは10年ほど前の「現場で役立つエクセル操作【応用編】(その3)」でも少し紹介していますが、便利な日付関数がこのアドインを導入しないと利用できなかったのです。

2007以降は関数のほうは標準機能とされたので、このアドインをオンにしなくても使えるようになりました。なので、このアドインをオンにするのは分析ツールを使いたい方だけになります。

分析ツールとは統計学的および工学的分析を行うものです。具体的には分散や相関、基本統計量、指数平滑、F検定、フーリエ解析、ヒストグラム、移動平均、乱数発生、順位と百分位数、回帰分析、サンプリング、t検定、z検定ができます。

普通の事務や現場で使うことは少ないと思います。ただし、試験施工や品質管理、将来値予測といったことを行う場合は便利なツールです。

簡単なツールを紹介すると乱数発生は乱数をある範囲で発生させるツールです。普通は均一と呼ばれる法則性のない数字を作るのですが、このツールでは、発生した乱数が正規分布に近い形になるようにするとか、ベルヌーイ分布と呼ばれる0か1の発生がほぼ5割になるように乱数を作成するといったものを作ることできます。つまり、乱数と言いながらある程度意図に沿った数字を作り出せるのです。サンプルデータを作る際に重宝します。

相関は2つの変数間の関係の度合いを見るものですが、変数が3つ以上あったら、その中の2つずつの組合せの計算を一気にしてくれます。売上と気温と降水確率といった組合せで分析するのはよくある例ですね。

移動平均は株をやっている方はおなじみかもしれませんが、年間の売上変動が大きい(閑散期と繁忙期の差が大きい)時に長期的な視点で見た時に増加傾向にあるのか減少傾向にあるのか見るときに使います。公共工事中心の事業を行っている企業だと分析のしがいはありそうです。

なお、いくつかのツールは関数でも実現できるものがありますので、考え方に慣れたら関数を使うのも手です。

もう一つはソルバーです。こちらも分析ツール同様、アドインで追加します。追加方法は前述の分析ツールと同様の方法以外に開発タブにあるアドインアイコンをクリックしてアドインの追加画面を出して追加する方法があります。開発タブがあればこちらのほうがオンオフが楽です。アドインの追加画面にソルバーアドインと記載してあるものにチェックを入れてください。

ソルバーとはある目標値に対して、複数の変数があったときにその数字の組み合わせを計算できるツールです。鶴亀算のような簡単なものからいくつ以上でないとダメとかいくつ未満といった制約条件をつけたときの解を出すこともできます。同じ複数部品を使う複数の製品を作る際の利益を最大にする場合といった計算例が良く見かけます。

ソルバーは条件をきちんと設定できればとても便利ですがなかなか難しいです。まずは、データのWhat-If分析にあるゴールシークで1つの変数から1つで1つの目標値を出す計算から試したほうが理解しやすいかもしれません。

今回のツールを使うことは少ないかもしれませんがこんな機能もあるんだと知ってもらえると幸いです。

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