ファイルの種類とバージョン管理

 今回は、よく質問のある、ファイルの種類とバージョンについてお話します。
 最近では特に、電子納品やメールでのファイル交換が増えたため
「このファイルを見るにはどうすればいいか」「相手に送付するときに何に注意したらいいか」
などの質問が増えてきています。
 そこで、今回は代表的なファイル名、特に拡張子についての説です。

拡張子とは、ファイル名の最後につく3文字の英数字で.(ピリオド)で区切られています。この拡張子は、Windowsの初期設定では画面に表示されないようになっています。WindowsXPならエクスプローラーを開いたときに

 [ツール]?[フォルダオプション]?[表示]タブにある、
 □登録されている拡張子は表示しない

 のチェックをはずすと見えるようになります。よく使われているソフトの拡張子は以下のとおりです。

.doc ワード 95,97,98,2000,XP,2003
.xls エクセル 95,97,2000,XP,2003
.ppt パワーポイント95,97,2000,XP,2003
.pdf アクロバット(PDF作成ソフト)1.3 1.4 1.5
.jtd 一太郎 Ver.8?13,2004,2005,2006
.jww JW_CAD(Windows版)
.dwg AutoCAD LT 95,97,98,2000,2002,2004,2005,2006,2007
.dxf CAD互換ファイル
.xdw DocuWorks

 多くの種類がありますが、電子納品やメール交換を円滑に行うためには、これらのファイルがどのようなものかは把握しておくべきです。

 上記の拡張子を参考にどのソフトで作られたかがわかれば、次はバージョンです。バージョンとは、各ソフトが作られた年代や発売した回数を示したものです。最近では発売年を記したものが多くなっています。
 問題なのは、拡張子が同じであっても、新しいバージョンで作成したファイルは、古いバージョンのソフトで開くことができないということです。(古いバージョンのソフトで作ったファイルは、新しいバージョンのソフトでは開くことが可能。)

 では、電子データ交換を行うためには、どのようなことをすれよいでしょうか。最善案は、上記ソフトの最新版を常に購入し、使える環境を維持していくことです。しかし、費用がかかるすぎますからあまり現実的ではありません。

 私のお勧め案は、以下のようなものです。
 社内で一台だけ最新環境を維持したパソコン(以下、マスターパソコン)を所有します。マシン性能もできるだけよいものにし、使用頻度の高いソフトもすべて導入しておきましょう。他のパソコンは、ITシステム計画に基づき定期的(3年程度)に新ソフトに入れ替えることとします。ソフト自体は毎年更新されているものもありますが、3年ぐらいであれば大きな機能変化はありませんから、目安にしてください。
  また、ライセンスによる一括購入でいくのか、ITインフラ計画でソフト導入済みパソコンを毎年度ごと1/3ずつ分けて購入し最新環境へ移行していくのか、 これについては計画と予算を見据えた上で決めていきます。ソフトによっては、パソコンに高性能を要求するものもありますから、このバランスはなかなか難し いのですが、最初のうちはパソコン整備に費用をかけ、徐々にソフト費用に変えていくのが無難でしょう。

 このような環境下で、取引先からソフトの新バージョンのデータを受け取った場合は、マスターパソコンで直接編集するか、古いバージョンへ保存しなおして作業すればOKです。また、何回もやりとりする業者や発注者には、自社の保有ソフト・バージョンを伝えておき、取り扱えるレベルを事前に打合せするようにします。電子納品の際の事前協議には、このソフト・バージョンに関する打合せ項目がありますが、この手続きを他の業者とのやりとりにも利用すると、電子データ交換がスムーズに進むでしょう。
 そのためには、自社パソコンの保有ソフトとバージョンは常にきちんと管理を行いましょう。特に社内では、どのパソコンでも編集できるように作成ソフトとバージョンの統一が必須です。

 もうひとつのお勧め案は、閲覧ソフトの導入で す。ソフト自体は高価でも、閲覧ソフトが無料なものは多々あります。特に上記で説明したソフトにはすべて、無料閲覧ソフトがあります。これらを各社員のパ ソコンに導入しておけば、大抵の添付ファイルの閲覧、印刷は可能になりますし、自社保有のソフトで開けない場合であってもとりあえず内容把握はできます。 あとは上記同様、再度バージョンダウンや変換をしてもらい、自社保有ソフトで読み込める形式にすればOKです。
 この場合は他力本願なので、上記案よりもさらに事前協議を綿密に行います。

 どちらの場合にしても、社内のIT計画をきちんとたて、社員間でソフトの受け入れ環境に大きな差が出ないよう工夫するとともに、情報交換や教育を行って、より効率のよい電子データ交換を実現することが大切でしょう。