ファイリングのポイント

 世の中、電子化は進んでも、なかなか紙データはなくなりません。むしろ、安易に印刷できるせいで増えたのではないでしょうか?また、以前は請負金とファイルの厚さは比例しており、100万円で1cmと言われたこともありましたが、今やISOやら法律強化やらで、請負金に関係なく、かなりの厚さの書類を要求されることがあります。紙データ管理がきちんとできず、困った状態になっている会社が多いのではないでしょうか。今回から紙データの管理、いわゆる「ファイリング」について何回かに分けお話しします。

  

ファイリングとは、書類の作成から分類・整理、そして保管ののち、必要期間が過ぎれば破棄をするという、書類運用のしくみです。つまり、書類の生涯を決める仕様書と言えるでしょう。

 建設業では様々な書類が現場で作成されています。その多くは現場が終了すると破棄しますが、中には5年、10年と保管する書類もあります。あやふやな分類や書類整理には無駄な保管費用がかかり、大事な書類を紛失もしくは見失うことにもなります。今回はまず、ファイリングの基本となるファイルについてのポイントです。中でも、多く使われているパイプ式ファイルに関してのポイントです。

(1) 背表紙のタイトル

 なんといっても、ファイリングの基本は背表紙にわかりやすい表記を行うことです。

 目次や一覧表を別に作成しておき、背表紙を番号や記号だけで表現する方法もあります。しかし、並んでいるファイルを見ながら探せるのは、紙ならではの長所ですね。本の例えると、オンライン書店(アマゾンなど)で探すのが一覧表ならば、実店舗の書店で探すのが背表紙によるものといえましょう。探し物が明確でない場合には、特に有効です。

 ポイントは、ファイルの中身をできるだけ簡潔に表し、かつ、他と区別できる(=オンリーワン)になる背表紙の名前をつけることです。長すぎるタイトルはよくありませが、逆に簡潔すぎても、結局同じような名前で番号が振られているということになってしまします。同じタイトルが多い場合はサブタイトルを追加したり、年度や業務名などを入れ、できるだけオンリーワンの背表紙になるように心がけましょう。

(2) 背表紙のカラー

 タイトルの次に重要なのがカラーです。

 たとえば、品質・原価・工程・安全など大きな分類での色分けがあると、分かりやすいでしょう。パイプ式ファイルは、背表紙に正方形の色がついており、基本は赤・青・黄・緑の4色です。分類が増えても、カラープリンターを使えば何色でも増やせます。ただし、あまり多いと混乱するので、できれば7色(虹色)以内に抑えることをお勧めします。

 また、品質と工程など、両方に関係する書類の場合は、色を塗る範囲の半分で分けて2色塗る。または、書類を2部コピーして、両方の色のファイルに収める方法のどちらかで対応しましょう。(3色以上の場合は、両方の方法を組み合わせれば対応可能)

 また、これとは別に、管理時期(プロジェクト中のみ管理・プロジェクト後発注者
が管理品・プロジェクト後社内で管理など)によるマーキングや、ISOの管理文書なのか非管理文書なのかの表示も、色を上手に使うとよいでしょう。これらのマーキングは、あえて背表紙の上部ではなく、下部に帯状でカラーと文字表記で表現すると見やすいものです。

(3) ファイルの厚さ

 単純にファイルをグループとして捉えるならば、ファイルの厚さは、区切りよく収まるようなサイズにすべきです。しかし、使わなくなったパイプ式ファイルを再利用することを考慮すると、同じ厚さのものが望ましいでしょう。また、視認性の面からも、違う厚さのファイルが並ぶより同じ厚さのほうが優良です。おすすめの厚さは、5cmです。この厚さ以上であれば自立しやすいのでブックスタンドのようなものを使わなくてもよく、片手での持ちやすさ・金具の大きさと綴じる書類の厚さの比率から考えても、5cmがほどよいのではないかと思います。また、価格面でも、セット価格として割安で販売されていることが多いようです。

 ファイリングは、全社統一で取り組むと利用のしやすさ・作成のしやすさも増し、管理も容易です。ぜひ、全社統一のルールを考えてください。

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