社内システムのモダナイゼーション(その10)

今回も引き続き社内システムのモダナイゼーションについてお話しをします。

前回はモダナイゼーションの留意点の1つとしてマスタ管理についてお話しをしましたが、今日はデータ分析業務についてお話しします。

(7) データ分析業務の定型化

前回のマスタ管理でも少しお話ししましたが、古い部品情報の刷新や単価更新をするためには、関係者が積極的に関与し、維持管理をすることが重要です。しかし、通常業務の中でこれらを常に意識することは意外と難しいです。特に急ぎの業務がある場合などはついつい応急処置的な対応(見積書での一時的な価格書換、古い部品情報をそのままにして新しい部品の追加)といったことを行ってしまいます。

このような状態では、いつの間にかまた、「使えないシステム」の汚名を貼られてしまいます。そのために定期的なデータ分析を行い、価格の差異や古い部品情報を見つけることが必要だと考えます。

例えば、価格の更新漏れは、取引データの価格とマスタの価格を比較することで見つけることができます。部品情報は部品メーカーの廃番情報と照らし合わせることで対応は可能です。分析頻度をあまり増やすと分析者の負担にもなりますし、やりすぎると担当者が「いざとなったら、システム管理者がやってくれるから」と応急処置を当たり前と思ってしまう可能性が高いです。1年に1回か半年に1回程度行い、出来ていない部分と理由を担当者に明示するぐらいして、応急処置を当たり前にしないようにしましょう。

ここで注意してほしいことはデータ分析はモダナイゼーションしたシステム内部の機能としては追加せずに、データ出力を行ってから、別のITツールで分析することです。モダナイゼーション前なら簡単ではなかったデータ出力もモダナイゼーション後は簡単にできるようになっているはずです。これもモダナイゼーションのメリットの1つだと思います。

データ分析を機能として追加するのはダメではないですが、個人的には年に1回程度の機能を追加するのはもったいないと考えています。むしろ、データ出力のみを機能としてもたせておき、データ分析は社内スタッフのスキルとして定着させるほうをお勧めしています。

これ以外にも売れ筋・死に筋の商品分析、滞留在庫としての部品や製品(劣化しないものは意外と多い)の滞留期間、工程の遅延分析等、機能としてあったほうがいいかもしれませんが、まだ自社で業務として定着していないのであれば、最初から機能として追加するのではなく、まずは各種分析ソフトかエクセルで、分析を行うことから始めてみましょう。

その際にマスタ管理同様、実務担当者を巻き込んで行うことが大切です。個人的な見解ですが、中小企業ではこの分析が不十分なために非効率な業務を行っていることが多いです。しかし、自社に分析できる人がいないことやツールの使いこなしができていないためにせっかく機能があっても使えていない感じがします。

データ分析は大きな会社ほど重要視しており、専門部署を設けているところも増えてきていますが、中小企業ではまだまだです。以前に比べるとだいぶツールはそろってきています。別のシリーズでお話ししているPower BIやエクセルの新機能などを使ってみると思った以上にいろいろなことがそんなに難しくなくできることがわかると思います。残念ながら、まだ上記のような機能を平易に解説してくれている書籍やネット情報は少ないですが、確実に増えてきているので、私の紹介を参考にトライしてみてください。

まずは、困っているところから少しずつ試してください。漠然とあれもこれもではかえって分析疲れします。成果が出そうなところから始めて、分析の重要性を会社全体で認識してもらいましょう。分析力をあげつつ、分析内容をできるだけ関係者に定型化してもらい、本当に必要な分析を見極めてから、改めてシステムに機能追加すると有効に活用されると思います。

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