デジタルトランスフォーメーション(その14)

今回もデジタルトランスフォーメーションについてお話しをします。今日もDXの進め方についてです。

前回はDXの理想的な進め方についてお話ししましたが、なかなかハードルが高いと感じたかもしれません。そこで、もう少し始めやすいというか現実的なDXの進め方について、前回と同じ5つの視点でお話しします。

1.経営者の積極的関与

IT関連を進めようとすると、年配の経営者はついつい「後は若いもんで」と言いがちですが、これが結果的に会社内の年齢が高い層の不参加を容認してしまい、一部で動きが止まってしまいます。簡単でも少しでもいいですから率先して関与するようにしましょう。

あと、DXを勤務外活動のような扱いをせず、業務時間に時間を確保して、達成したら給与UPといった目に見える褒美を明言するようにしてください。経営者の積極的関与が5つの視点の中で一番大事だと思います。

2.小さく始めて大きく育てる

全体で始めると成果も大きいですが、失敗も大きいです。失敗が少なく効果が出そうなところから始めて、成功体験を自社で味わいましょう。成功を体験すれば、みなさんの意識にDXが「どこかの話」から「自分たちの話」に切り替わってきます。それを増やしていくのがポイントになります。

3.ともかく試行・検証

成功しそうなところから小さく始めてもだんだんうまくいかないことが増えてきます。世界初、日本初、業界初ではなくても、自社初であれば、失敗はあります。あきらめずに手法を変えたり、対象範囲を変えたりして試行しましょう。

もちろん、試行するだけでダメです。検証をして、うまくいったこととうまくいかなかったことを見極めて、うまくいったことを残していかないともったいないです。また、前例がない以上、変えることはいろいろあるはずです。中途採用者や関係者外に見てもらい、変えるべきルール(固定観念)を見つけ出しましょう。

4.無料でできることから少額有料へ

DXと言えば、高価なシステムを想像しがちですが、多くのパソコンに入っているエクセルでも相当なことができます。エクセルの一ランク上の利用を全社的に推し進めて売上が大きく伸びた会社もあるくらいです。

また、クラウドサービスの中には人数制限や機能制限があるものの無料で使えるものがたくさんあります。国や都道府県のアドバイザー制度などを利用したり、ネットで評判を聞いたりしてお試しをしてみることをお勧めします。仮に有償でクラウドサービスを利用しても、サービスには月単位での契約ができるものも多く、うまくいかないときはやめるという選択もとりやすいのです。従来のようにがっつり開発して、絶対使い続けなくてはいけないといった選択肢だけではなくなったことを意識してください。

5.できるだけ全員参加

DXの成功は経営者だけでなく、関係者全員が関与することが重要です。ITが得手な人中心ではなく、不得手な人ができるためにどうすればいいのかを考えて進めていきましょう。

もちろん、不得手な人のレベルに合わせるとシステムは高価なものになりがちです。レベルアップを促す教育は必須です。前述のエクセルで業績を伸ばした会社も社員教育には時間をかけているようです。エクセルの関数や基本機能、ワードのインデント・タブといった空白を使わない文書の整形機能といった基本的なところを全社員ができるようにしていくとそれだけで大きく成果が出る場合もあります。これは事務所だから現場だからはありません。自社の社員教育について、再定義してみましょう。

最終ゴールは会社全体にどれだけ影響を及ぼせるかです。部分的に始めてもいいので、全体的になるように、経営者が積極的に関与して、無料サービスや既存ソフトを利用し、小さく始めながらも、範囲を広げて、失敗を恐れずに、できるだけ全員参加を目指す。継続をあきらめずに少しずつ進めてください。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする