今回もデジタルトランスフォーメーションについてお話しをします。
前回はデジタルトランスフォーメーションの概要を説明しました。「うちには関係ないよ」とか「うちはそんな規模ではないし」という人もいるかもしれませんが、時代の変化についていけないと収益は下がっていき、新入社員も採用しにくくなる可能性が高くなると思います。
確かに多くのDX事例は世界を変えるような内容が多いです。しかし、大きな変革をもたらす必要がなくてもデジタルトランスフォーメーションの考え方を活かして、小さな変革に利用することは可能なのです。また、多くのDX関連企業は最初から大規模な会社だったわけではありません。小規模もしくは零細企業から始まって大きくなってきたのです。つまり、企業規模に関係なく、DXを考えることは可能だということです。
「しかし、いきなりDXと言われてもねぇ」という方にDXとのかかわりについてのステップを説明します。
第1ステップ:DXに触れる
まずは、DXに触れるという段階です。ただし、単にアマゾンを利用するとかネットフリックスを使ってビデオを見るとかだと次に活かせません。アマゾンならば、カスタマーレビューやレコマンド機能がどのような仕組みでできているのか、ネットフリックスならどんな経緯で自主制作作品に取り組んできたのかを調べるようにしましょう。
ネット上で概要であれば調べることは可能です。もう少し詳しいことを知りたい方は書籍がいくつか発売されていますので、購入されて読むことをお勧めします。どうしてそういうふうに取り組んだかという考え方だけでも刺激になるのではないでしょうか。
第2ステップ:DXを部分的に導入する
内容的にはDXと表現しにくいかもしれませんが、一部の業務や作業に限定して、今までの業務とは大きく違う仕組みをITツールの活用に導入してみます。もし実現できれば、それはミニDXと呼んでもいいのではないかと思います。
導入に当たっては、単にITツールの導入や業務手順変更だけでなく業務分掌(役割分担)の見直しや基準の改廃など多くの変更事項が発生します。1つの工程、1つの作業でもこれらの変更を行うことにはは変わりありません。その量が多いか少ないかだけです。
このような変更作業を通して、自社にDXを取り込むためには何が足りないのか何をすべきなのかが見えてきます。本当に必要な会議がなかったり、変更のための会社ルールがなかったり、責任者が不明瞭だったりといろいろなことを見つけることになるでしょう。
これらが最終的にはDXを実現するための課題となり対策をたてる対象となるのですが、実はこれは業務改革の際の課題とほぼ同じだったりします。DXと言わなくても業務を大きく変えるときには同じことが課題となるのです。
第3ステップ:DXを本格的に導入する
ここまでくると経営方針、経営戦略から変更していく必要があります。もしかすると業態や業種まで変更する可能性も出てくるかもしれません。
とはいえ今までの仕事を大きく変えるには技術はもちろん、資金や人材も必要になってきます。また、多くのDX企業は社長が率先して行っています。中小企業ではなかなか社長が新規事業のみに携わることは難しいと思います。なので、できれば新規事業部といった形で独立した権限をもった部署という形で始めることをお勧めします。
会社規模によっては通常業務と兼任の可能性もありますが、大切なことは既存業務のしがらみを排除して自由に考え、動ける環境をトップダウンで全社周知の元で進めることです。失敗の可能性も考慮して、その責任の所在も社長にありきで進めないと大きな変化は望めません。
簡単に3ステップでまとめてみました。ご参考になれば幸いです。