デジタルトランスフォーメーション(その5)

今回もデジタルトランスフォーメーションについてお話しをします。今日はDX推進指標についてです。

前回は情報の利活用方針について、留意すべき点をいくつかお話ししました。今回はそのために自社の成熟度を把握するためのDX推進指標についてお話しします。

詳細は経済産業省の下記ページを参照していただくとしてここでは概要と補足説明をします。

◆デジタル経営改革のための評価指標を取りまとめました
https://www.meti.go.jp/press/2019/07/20190731003/20190731003.html

まずは、DXを進めるにあたっても前回お話ししたように経営陣から社員までの方針や心構え、企業体制がしっかりとなければ難しいです。そのために自社はどの程度できる段階にあるのかを把握する必要があります。これがDX指標です。自社のDXに対する通信簿だと思ってください。

通信簿の評価は成熟度というレベルで6段階に分かれます。成熟度という言葉はピンとこないと思いますが、成熟度が高いほど企業がより一丸となって動いていくという感じです。表現は適切でないですが成熟度が上がるということは赤ちゃんから幼児、児童、学生、社会人になっていくことで、より正確に明確に意思や動きが出せるといったイメージです。レベルは0から5までで共通評価は下記の通りです。

レベル0:未着手
レベル1:一部での散発的実施
レベル2:一部での戦略的実施
レベル3:全社戦略に基づく部門横断的推進
レベル4:全社戦略に基づく持続的実施
レベル5:グローバル市場におけるデジタル企業

これらを企業の仕組みとITシステム構築の双方で評価します。具体的には企業のビジョンやトップのコミットメント、企業文化、推進体制、人材育成、事業への落とし込み、ガバナンス(統治)といった内容で評価をしていきます。

これら定性指標と別に、製品開発スピードや業務のデジタル化率といった定量指標も掲載されていますが、メインは定性指標です。

使い方はまず現状の成熟度を把握します。これらは関係者特に上層部の方だけで判断せずに企業全体で様々な階層や職務の人に評価してもらうことをお勧めします。将来に対する危機感やトップのコミットメントに対する周知度などは一部の人だけでは企業の現状をきちんと把握できないからです。もちろん、自己診断が基本ですが、自社だけでは難しいと考えた場合、外部専門家の力を借りてください。

なお、資料の中には、成熟度判定の際に利用するエビデンス(根拠)に利用できる社内書類(経営計画、業務分掌等)も記載してあります。ない時点でレベルは低いと考えればわかりやすいですが、ある場合でもその内容や周知度、実施度、評価改善度によってレベルがわかってきます。

今回のDX以外にも成熟度評価という仕組みはあるのですが、実際に評価を行う際に多くの企業では経営陣と幹部、社員とのギャップは見受けられます。このギャップを埋めて、企業全体の評価を統一し、共有することがこの指標を使う理由の一つだと思います。

評価がすめば、目標にする成熟度レベルを設定し、達していない場合は達するための対策を検討、実施することになります。この資料ではその対策そのものまでは記載していませんが、1つ上のレベルがどのような状態を示すのかは簡単に記載していますので、それを中間目標として、達するための対策を検討してください。自分たちの立ち位置を定期的に把握するための座標がこの指標です。

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