前回の作成ルールに続き、今回は管理ルールのポイントをお話します。
管理で一番大事なことは、
・どこに
・だれが
・いつまで
管理するかです。
よく聞くのは、担当者が自分の机やロッカーに瑕疵期間中まで保存しておくといった話。これでは、本人以外再利用できません。「担当者だから勝手がわかるし、その人に聞けば最短で最良の情報を聞ける」という人もいますが、その人が退職や転勤した場合はどうなるでしょうか。その時点でその人の持っていた情報資産は、すべて無に帰してしまいます。
では、どのようにすべきか。いくつかの例を挙げて説明しましょう。
1.どこに
従来の紙データと違って、電子データは大きなスペースをとりません。まずは、みなが見やすいところに保管するのが一番です。ただ、電磁的な記録ですから、消失防止のためのバックアップや、外部への情報流出防止のためのセキュリティは確実に行われねばなりません。、
例えば、図書スペースのようなものが本社にある場合は、そこにバックアップをとったフロッピーやCD?Rを置くのもよいでしょう。貸し出し簿などできちんと管理すれば、ネットワーク未構築の企業でも充分展開できるはずです。もちろん、社内ネットワークが構築されているなら、共有のファイルサーバーを用意し、そこに作成ルールで定めたフォルダー名・ファイル名で保存すればOKです。できれば、上書き防止のため書込み禁止にしておくとよいでしょう。
2.だれが
瑕疵期間中は、担当者が保存責任を有するのに異論はありません。しかしその後は、社内に適切な情報資産管理者を定め、一元的に管理するのをお勧めします。また、その管理者は、瑕疵期間中であっても担当者から情報を得られるような環境もしくはルールをつくり、できるだけ早い段階から展開が行えるようにすることが大切です。
3.いつまで
私の個人的意見としては、その建築物がなくなるまで(50年?100年)です。しかし、そのような長期間は到底管理できないとお思いなら、7年?10年(帳簿や領収書等の法的な保存期間プラスアルファ)を目安としてはいかがでしょうか。よほどの大会社でない限り、最近の電子媒体で充分に管理可能な量に納まるでしょう。また、管理情報にはランク付けをし、長期間管理すべきもの、短期間で破棄してよいもの等分類をします。そうすれば、より多くの情報を扱えるようになるでしょう。
以上3点を念頭に置いていただくとして、それ以外で大切なことがもう一つあります。それは、情報を個人で抱え込まないよう社風や社内ルールを変えていくこと。情報提供者の苦労がきちんと報われ、みなが気持ちよく利用できる環境整備が非常に大切です。
一般的な書類はともかく、不具合事例やコスト情報は個々人で抱え込みがちです。しかし、それらが企業の生命線を握っている場合も少なくありません。提供された情報に対しては、会社としての利用率に応じて、提供者にポイントを付し、ポイントにより報奨を受け取る。あるいは、貢献度を判断して表彰される。私としては、そういった仕組まで作るのが望ましいと考えています。