書類の4S

ずいぶん前ですが、業務の4Sのお話をしました。今回は書類の4Sについてお話します。

システム開発の基本は業務データをいかに容易に必要なものだけを入力し、必要な人に情報を共有するかがカギです。しかし、固定観念や慣習にとらわれるとシステムの使い勝手を悪くしたり、無駄な業務データがたまり、検索が難しかったり、集計が大変だったりすることが少なくありません。

業務も同様ですが、システム開発の基本はデータであり、情報(業務として価値があるデータ)とならないデータは基本入力しないことが肝要です。今回はそのための書類整理を行う際に4Sの視点で行っていく流れをお話します。

■準備

まずは、業務書類を集めます。この時点で大抵の企業は大騒ぎになります。なぜかと言うと、業務書類がどれだけあるか把握できていないことがほとんどだからです。ISO関連で品質や環境書類は番号管理がしていても、それ以外の経理や総務書類は未把握ですし、少し規模が大きかったりすると事務所ごとにオリジナル書式があることも少なくないです。

そこで、4S対象は書類を破棄できることも視野に入れるので、社内書類に限定して集めることを始めます。もし、あまりにも把握が難しければ、上記のようなISO限定、現場管理限定といった形で限定して集めることから行います。

■整理

整理ですから、不要な書類を捨てることになります。ここで管理部署から反対を受けることが多いですが、ルール付けとして、なぜその書類が必要か、もっと具体的に言うとその書類が誰の役に立っているかを書類の目的を明確にしてもらいます。

この時点で目的が不明瞭なままに作っている書類が意外とあることに気づいたら成功です。そうでなくて、いろいろ理由をつけて書類を残そうとしている場合は、要注意です。書類を残したいわけではなく、自分の業務がなくなることに抵抗していることが背景にあるので、経営陣レベルで整理の必要性と書類整理後の業務について説明を行ってもらうようにしてください。

■整頓

現物の書類の場合は書類の種類ごとに番号付けたら終わりですが、今回は書類そのものの存在の整頓なので、統合を考えていきます。

同じ目的で違う書式・項目は同じ書式・項目に、同時期に作成する書類は一体化できないかどうか、何度も重複記入する住所や名前等はコードで省略できないか等も検討していきます。詳細は別途お話しますが、ここでも書類の種類は減らすことが可能です。

■清掃

整理整頓した書類が使えるように書類番号を全社ルールのもとに作成するとともに作成・利用時期、頻度や担当部署(作成・利用・閲覧等の関与状況を含む)などを整理した一覧表を作成します。

別の言い方をするとこの管理対象になっていない書類はまだ4Sが完了していないか、非管理書類として、作成を義務付けない書類として定義付けます。

■清潔

管理部署を決めて、最新版管理を行います。この管理部署は書類を作成・利用する部署ではなく、書類書式そのものの管理し、定期的に必要性を振り返る部署です。

総務部がいいとは思いますが、状況によっては委員会形式にして定期(方針確認は年に1回、実作業は複数回程度)的に開催する仕組みをつくることでも大丈夫です。

業務を円滑に進めるために、メモ書きレベルの書類を必要な場合があります。そのような書類の存在は否定しませんが、いつの間にか作らなければならないというような無駄なことを避けるために書類の4Sは定期的に行うことをお勧めします。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする