書類の4S(その2)

前回に引き続き、書類の4Sについてお話します。

前回は書類の4Sの全体の流れをお話しました。今回は個別に内容を説明していきます。まずは、準備編です。

対象書類を集める

対象となる業務書類を集めるところからスタートです。全社の業務書類すべてを集めることが理想ですが、現実的にはローカル書類(一部でしか利用されていない、作成理由も不明な書類)が多くあり、集めきれません。

まずは、対象業務を絞って集めてみましょう。施工管理システムや生産管理システムを構築するのであれば、現場書類を中心に集める。販売管理システムを構築するのであれば、営業書類を集めるといった感じです。

基本書類から例外書類

集め方は、基本となる業務で利用している書類から集めて、徐々に例外的な業務の書類を集めます。現場であれば、中規模程度の現場の書類を集めてから、小規模や大規模の現場でしか利用しない書類を追加する。生産場所(配管加工や鉄筋加工)であれば、標準的な業務の流れに利用する書類を集めてから、例外的な業務の流れで利用する書類を集めましょう。

集める際には必ず、一覧表を作成し、仮でのいいので書類番号をつけてください。あともう一つとして、社外に提出書類があれば、それが法律で規定されているものか相手先書式なのかがわかるようにしましょう。

社外書類(法令、相手先書式)

法律で規定されているかどうかは提出先が官公庁であれば、ほぼ確定ですが、そうでなくても作成義務と保管義務がある書類もあります。関係法令を読み解くか、労働基準監督署等の関係省庁に問合せをするといいと思います。

また、相手先書式の場合、変更可能かどうかや管理がどの部署で行われているかも確認しておくとこのあとの4Sで楽になります。実際、相手先書式と思っていたのが、担当者レベルの口約束で決まった根拠のない書式だったというケースもあります。そのため、お互いに不便だったのに確認せずに仕方なく使っていたという笑えない話もありました。

上記のような法令での規定書類や相手先書類等の社外書類は確認が大変なので後回しにして、社内書類に限定するのも一つの方法です。この集める作業は一番大事なのですが、漏れなく集めるのはなかなか大変ですし、社外書類は4Sにも向かないので、まずは社内書類限定で集めて、4Sを行ってから社外書類というほうがスッキリするかもしれません。

書類番号、書類名、利用時期、利用頻度

書類番号は管理部署や利用部署を基準に採番するとあとからグループ化するときに楽ですが、最初はどの部署が管理しているかもわからない状態で集めるので、とりあえず通し番号で管理をしておきあとで、整理してください。

書類名は書類に記載してあるタイトルのようなものがあればそれを利用しますが、意外とこれがないものも社内書類には多いです。また、その呼び名も部署によって異なるという困ったことも少なくありません。記載している項目や書類の目的から一般的な名称を設定したうえで、比較的社内で定着している呼び名を併記しておくとトラブルが少ないと思います。

利用時期や利用頻度もこの際まとめておくと4Sを考える際の基準として利用できます。計画書のような着工時のみ、施工記録のような竣工時のみといった工事につき1回の書類もあれば、工事日報のように毎日のものもあります。関係者数と頻度で影響度がわかるので、4Sの効果が見えやすい指標となります。

また、ISOや法令で保存義務があるものもあります。その点もメモしておくと便利だと思います。

上記を踏まえて一覧表の記載項目ですが、書類番号、書類名(一般名称)、書類名(社内名称)、管理部署、利用部署、利用時期、利用頻度、法令対象(法令名)、相手先書式(相手先名)、保存義務、備考といった感じです。意外と多いのでびっくりするかたもいるかもしれませんがISO管理文書の一覧だとこのような項目が基本だと思います。

一覧表の書式イメージがピンとこない場合は、ISOの文書管理台帳のテンプレートをネットで検索してみてください。

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