前回、業務改善のみせ方として、指標のまとめ方についてお話しました。何らかの加工(換算、比較、集計、関連等)をほどこすことで無味乾燥したデータが生きた情報に生まれ変わるのです。
さて、今回は、この生きた情報をよりよくみせるグラフの使い方の基本についてです。
まずは、よく使われるグラフの種類と役割です。主なものは、円グラフ、折れ線グラフ、棒グラフ、散布図の4つです。当然、それぞれに適した役割があり、表現したい目的に合致しないグラフは、せっかくの生きた情報を殺してしまいます。それぞれの役割を把握しましょう。
1.円グラフ
・役割
全体を100%とみなしたときの各項目を比率で見るときに最適です。時系列のような時間変化があるものはだめです。
・主な使い方
ある時点(月末、期末)での、商品別売上比率や経費比率などに使うのがベストです。また、アンケートのような選択肢の比率を出すのにも向いています。
・注意事項
細分化しすぎてはいけませんが、まとめすぎてしまうと「〈その他〉の比率がもっとも高かった」などという困った現象が起きます。適切な項目設定が見やすさの鍵を握ります。
2.折れ線グラフ
・役割
時系列の表現を、もっとも得意とします。ある特定の項目の、月変化や年変化などです。傾向をつかむのにも使えます。また、同じ時系列で2つの指標を比べることで、関連性などを見つけることもできます。
・主な使い方
年間の月別売上高の変化や受注件数の変化など。品質管理の際に一定間隔で測定した測定点の傾向なども見ることができます。
・注意事項
2つ以上の指標を重ねる際に、同じ縦軸で表現できない場合は、両端に個々の目盛りを設けて表記します。また、目盛りの最大値最小値の取りで、差を大きく見せたり小さく見せたりできます(が、鋭い人には見破られます)。
3.棒グラフ
・役割
一番一般的なグラフです。折れ線と同様に時系列を取り扱うこともできますが、どちらかというと各項目を比較する際に用います。
・主な使い方
どの部署が一番稼いだかとか営業員別の売上比較など。また、不具合の原因別件数などを多い順に並べ替えると、円グラフよりも見やすいことがあります。
・注意事項
円グラフと同様、項目の集め方に留意する必要があります。また、時系列的な使い方をするケースもありますが、できるだけ折れ線にすることをお勧めします。
4.散布図
・役割
縦軸・横軸両方ともが数値軸になる場合に使います。つまり、横軸が等間隔で表現できないようなものです。また、2つの項目の関連性を見るために使うのもこのグラフです。相関性を見るために近似線を入れる場合もあります。
・主な使い方
不定期に計測した測量結果を時系列で並べて傾向をみるとき。また、会社規模と売上のような、どちらの項目も一定間隔にすることができない指標などにも使います。
・注意事項
他の3つと違うため、使い方に戸惑う方も多いようですが、両方が数値だということさえ忘れなければ、意外と使い勝手はいいと思います。
このほかにもレーダーグラフやバブルグラフのようなものもありますが、上記4つを抑えれば、大抵の情報は表現することができます。
建設業では測量結果のまとめや品質管理帳票、安全管理のまとめなど、多くの図表を用いることが多いのですが、見やすいグラフでないことも少なくありません。みせたい目的を明確にし、最適なグラフを使いましょう。