建設業におけるクラウドサービス(その6)

今回も引き続き建設業におけるクラウドサービスについてお話しします。今回も具体的なサービスの利用例についてお話しします。

現場との情報共有はなかなか大変です。携帯電話が普及してから1対1の情報提供はずっと楽になりましたが、複数の社員で共有しようとすると一斉に連絡する手段がほしくなります。

前回お話ししたオンラインストレージによる情報共有はどちらかというとファイル中心のものです。詳細な情報を多く共有するのには向いていますが、即時性や一覧性には少し欠けます。それらを実現するためには別ツールとの組み合わせが必要です。

2.Webメール、SNS、グループウェアによる情報共有

比較的、即時性が高く、敷居の低いツールはメールです。既に多くの方が利用しており、操作に困ることは少ないと思います。スマートフォンでもパソコンでもいずれも利用している方は多いのではないでしょうか。

ただし、従来のプロバイダーが提供しているメールや携帯電話会社が提供しているメールでは少し問題があります。これらのメールはサーバーに保存できる容量が少なく、受信後削除することが前提となっています。結果として、パソコンとスマホで受信できるように設定しても、パソコン側で受信後削除の設定をしていると後からスマホで見ることができないといったことが起きます。両方を受信後一定期間に削除という方法で最新情報が見ることができても古い情報はやはり削除するしかないため、検索性という点ではやはり問題が起きます。

最近のWebメール、正確にいうとクラウドサービスで提供されるメールは原則サーバー側でずっと保存されるため、いつでもどこでも過去から現在までのメールを見ることができます。もちろん、最近のメールソフトはWebメール(クラウドメール)にも対応していますので、使い慣れたソフトで発信受信をすることも可能です。

これらのメールは従来のPOPではなく、IMAPという手順でサーバー側を操作するような仕組みをとっています。昔はサーバーの容量が厳しく、ずっと保存しておくことが難しかったのですが、今はその点が改善された結果、利用が可能になりました。

代表的なのはGoogleが提供しているGmailですが、マイクロソフトのOutlook.comやアップルのiCloudメールもあります。使う環境で選ばれるといいですが、どれにしようか迷ったらGmailをお勧めします。

これらのメールサービスを利用すると自社のパソコンやスマホだけでなく、出先でも見ることが可能になります。セキュリティ面としてはIDとパスワードをしっかり管理する必要がありますが、利便性は非常に高く、古いメールを見れるのは発注者や協力業者さんとのやり取りを見つけたり、昔の現場の知り合いを思い出すのにも役立ちます。

次に一斉通知は、LINEのようなチャットツール、メッセージツールが便利です。特定の人間や社員全員といった形でグループを作成するだけで準備は終わりです。あとはグループ画面にメッセージを書き込むと一斉通知が簡単に実施できます。昔はメーリングリストを作成して、メールでの情報共有を実施していました。今でもチャットツールがなじめないような企業ではメーリングリストでの情報共有を実施していますが、短文での簡単なやりとりはやはりチャットツールに軍配は上がるようです。

Skypeのようなグループビデオ電話機能があるものだとちょっとした会議もできます。Face To Faceができるのはとても便利です。準備はパソコンの場合カメラ等のハードウェアが必要なのですが、スマホやタブレットだとカメラ・マイク・スピーカーは内蔵している場合が多いのですぐに始めることができます。

ただし、履歴という点ではある程度するとサーバー上では削除されてしまいますので、Webメールやオンラインストレージと上手に組み合わせることで残す情報とその場での情報を使い分けることをお勧めします。

最後に一覧性ですが、こちらはグループウェアがいいでしょう。もちろん、上記2つに比べると機能が多い分、使いこなせないとか発信するのが手間だとかいう理由で利用率は高くないです。昔はイントラネットとして社内の情報共有のメインツールとして使われていましたが今はどちらかというと他のツールの補完ツールとして使われているような感じです。

掲示板機能や承認機能はネット上のホワイトボードとしてとても便利です。日報機能も使い方次第ではコミュニケーションツールとして有効です。

ただ、視認性は本物の大きなホワイトボードには負けるので現場への直行直帰がない企業ではあまり有用ではないかもしれません。とはいえ、社内規則や一斉メールでは忘れられて困るような健康診断期間の連絡といった掲示物的なものはリアルでもネットでも両方あったほうが便利です。

即時性、同時性、一覧性とそれぞれのニーズに合ったツールを使って、情報共有を進めてください。

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