建設業におけるクラウドサービス(その2)

今回から引き続き建設業におけるクラウドサービスの利用についてお話しします。

前回お話ししたようにクラウドは仮想化技術で高性能のコンピューターを分割して使ったり、低性能のコンピューターを複数組み合わせて1つのコンピューターとして見せかけるなど性能が固定していた従来型のハードウェア面で大きな変化をもたらしました。

ソフトウェア面でもハード的な制約が少なくなった分、スケーラビリティ(利用量の変化への対応度)が高くなり、少ない利用でも多い利用でも柔軟に対応できるようになりました。もちろん、ソフト側でも仮想化技術に対応できる仕組みが準備できたからこ有効に使えているようになったのであり、そこにも技術革新という努力の成果が形になったからです。今回はクラウドを利用環境や利用段階による分類についてお話しします。

さて、こちらも前回お話ししましたが、いつでもどこでも利用できるクラウドサービスですが、セキュリティに不安を感じる企業はなかなか利用できないといわれていますが、技術自体は公開されているものが多いため、その技術を使って自社だけのクラウドサービスを構築することは可能です。

このような自社もしくは特定グループのみで利用するクローズなネットワーク環境のもとで利用するクラウドをプライベートクラウドと呼びます。こちらは自社でハードも準備する必要があるため、簡単ではないですが、プライベートクラウドを構築を支援する専門企業もあるため、そちらを利用することが一般的です。

このプライベートクラウドに対して、一般的なクラウドサービスが利用している環境をパブリッククラウドと呼びます。一般的なインターネット環境さえあればいいので、利用は容易ですが、セキュリティやサービスメニューが固定されている部分があるなど一定の制約があるのはやむをえません。

セキュリティや独自性を確保したい部分はプライベートクラウドとして、汎用性があるところはパブリッククラウドを利用するハイブリッドクラウドというのもあります。共通の技術を使っているために従来より容易に連動はさせやすいようです。

このように利用環境による分類は今後のよりセキュリティが必要なシステムづくりにも必要だと思うので覚えておいてください。

次に利用するレベルに応じた分類を紹介します。これは、クラウド側にソフトまで準備してもらう、ソフトが動く環境(OSや実行ソフト)まで準備してもらう、ハードウェアだけ準備してもらうの大きく3段階に分かれます。

ソフトまで準備してもらう状態をSaaS(Software as a Service)といいます。一サービスとしてのソフトウェアという名の通り、ソフトウェアの機能をサービスとして提供してもらいます。つまり、利用者側はインターネットにつながる環境さえ準備できれば、サーバーはもちろんソフトのインストールすら不要ということです。一般的にクラウドサービスというとこれを指します。

次にソフトが動く環境や開発環境を準備してもらう状態をPaaS(Platform as a Service)といいます。一サービスとしての土台という名の通り、自社で開発したソフトを動かせる環境を準備してもらいます。ハードと基本ソフト(OS)、中間ソフト(ミドルウェア)が使えますので、開発後すぐにその環境でサービスが提供できますし、自社開発のソフトがクラウド上で使えることやハード、OSの管理を外注することで負担軽減にもつながります。

次にハードウェアだけを準備してもらう状態をHaaS(Hardware as a Service)もしくはIaaS(Infrastructure as a Service)といいます。昔はHaaSで最近がIaaSといった感じですが、どちらも一サービスとしてのハードウェアもしくは基礎設備を準備してもらうということでほぼ同じものです。ネットワーク環境や保存環境も提供してもらうという点ではIaaSのほうがより実態に近いと思います。このサービスはハードだけですので、基本ソフトから準備する必要があり、専門知識もそれなりに必要になりますがその分、より自社オンリーのサービスを提供することができますし、セキュリティ的にも強化しやすいです。

一般的にはSaaSを使って、一部の自社専用ソフトをPaaSで構築するといった感じが多いのではないでしょうか。IaaSを利用するとなるとそれなりのスキルやマンパワーも必要なので中小企業ではちょっと難しいかもしれませんね。

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