デジタルトランスフォーメーション(その13)

今回もデジタルトランスフォーメーションについてお話しをします。今日は、DXの進め方についてです。

今回はDXの理想的な進め方についてお話しします。まず、課題として意識すべき点が

・経営者の関与が不十分で担当者任せ
・デジタルに不慣れな人に忖度しすぎな逆デジタルディバイド
・今特に困っていないとの改善意識の欠落、手順の属人化
・情報システムが部門最適・レガシー化
・IT利活用技術不足(自己学習に依存した社員教育不備)

です。これらを1つずつ取り除いていくことがDXの基本的な進め方となります。

1.トップダウンのデジタル戦略

情報の利活用が部門最適に陥らず、情報共有を全体的に浸透させるには経営者自身の積極的関与とIT戦略のような文書化した明示が不可欠です。激動する時代に未来像を示すのは簡単ではないですが、ITツールを導入・展開・活用するためには3年ぐらいの期間が必要です。その基本方針(方向性)と概要(主な施策)は示すようにしましょう。

2.デジタル思考の定着

デジタルなら何でもできるわけではありません。得意・不得意があります。何も考えずに専門企業に丸投げして後悔しないように基本的なITの考え方を身につけていく必要があります。特に全部そろえてから始める旧来型ではなく、小さく始めて大きく育てる試行錯誤の視点がとても重要です。戦略をもとに方向だけを維持しながら、試行するための考え方(アジャイル等)を勉強しましょう。

3.基準・手順・分掌の文書化・標準化

日本は「空気を読む文化」が卓越したハイコンテクスト文化であり、文章を残すのが下手です。結果として文書がない業務が多くあり、標準化もされていません。そこがシステム化、IT化の障害になっているのはいうまでもありません。例外は置いといても、日常業務は必ず文書化し、できれば標準化しましょう。技術伝承や働き方改革にも影響を与える重要な成功要因だと思います。

4.最新ではなく最良のIT事情の把握

日進月歩のIT事情をキャッチアップすることは簡単ではありません。最新のITが大きな変化を与えることは少ないくないですが、一般企業では利活用は難しいです。まずは、自社の成熟度(ITを含む自社のレベル)を把握したうえで、身の丈に合ったITとはどんなものがあるかを調査していきましょう。同業他社の事例が参考になると思います。

5.IT利活用を含む社員教育の再構築

携帯・スマホは使っているのになぜかパソコンが使えない若者が増えています。決して若いからデジタル機器は何でも使えるわけではありません。会社のITスキルがある程度一定でないと利活用はもちろん不十分になりますし、システム開発コストも上がります。得手不得手の差を減らすことはIT利活用だけでなく、業務の標準化にも寄与します。会社全体でレベルアップを図りましょう。

上記の内容は今までいろいろなところでお話ししたこととほぼ同じです。結局はDXとはいっても、準備すべきこと、進め方自体は大きく変わっていないのです。

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