書類の4S(その6)

前回は書類の4Sの清掃についてお話しました。今回は清潔についてです。

一般的な4Sにおける清潔は、きれいさや使いやすさを維持することです。書類における維持とは、最新版管理であり、使い方の教育だと思います。

最新版管理のポイントは、法令改正や組織変更に応じて、書類の内容を見直したり、不要な帳票をなくしたりできる仕組みづくりだと思います。

書類コード(バージョン付き)

まずはどれが最新版であり、有効な書類であるかがわかる仕組みが必要です。そのために、書類にバージョンを含めた書類コードを入れておくと便利です。

ISOを受審している企業だと文書番号がある場合が多いと思います。なので、この仕組みを流用して、書類番号を作るのが便利です。管理部署と連番が基本となって、枝番として、版数や年度を追加しておきます。例で挙げると、総務001-2024とかK001-01とかで、後半のKは工事部の略称ですが、こうすることで、アルファベットで表現できます。

改訂頻度が多い場合は、3桁にしてもいいですが、その場合は書類番号そのものを見直すことをお勧めします。番号のつけ方を決めたら「準備」のステップで利用した一覧表の番号を付けなおしたうえで、版数と策定日の項目を追加しておくと最新版管理は行いやすいと思います。

書類委員会

次に廃版基準を管理する書類委員会です。整理の段階で廃版基準を策定しましたが、その基準に従った定期的な見直しが必要です。これを行うのが書類委員会です。

できれば、部長クラスが集まると話が早いと思いますが、ISOであれば、書類管理者が決まっていることがあるので、その方でもいいです。年に一度書類改訂、廃止を決める場を設けます。もちろん、事前に実務関係者での協議や調整が必要だと思うので、実際は1ヶ月ぐらいは準備期間も含めて必要になりますので注意してください。

基本的には決算期や棚卸等が行われる時期は外し、少し業務が落ち着いた時にやることがお勧めです。3月決算であれば、秋口の10月、11月ぐらいでしょうか。この辺りは業務の繁忙期と合わせて調整をしてください。

廃版基準と書きましたが、書類単位ではなく、項目単位でも精査ができると望ましいです。そういう意味では改訂廃版基準といった表現の方が望ましいかもしれません。

相手先があるものや中には1年で結論がでないような微妙な項目もあるかもしれません。保留項目として1年間影響がないかどうか検証し、不要と判断するといった方法もいいと思います。大切なのは、見直しを意識することで、無駄なデータを作らないということです。

社員教育

最後は社員教育です。改訂でも廃版でも連絡と変更による留意点の説明はきちんと行うことが重要です。先ほどの書類委員会で決定となったら、早めに連絡を回し、必要に応じて変更点をまとめた書類を回覧します。関係者が少ない場合は口頭でもダメではないですが、新旧の比較表ぐらいは作っておくとよいでしょう。

ただし、インボイス番号のように番号の意味や対象となる書類、それ以外に追加すべき項目等があるような複雑な制度で関係者が多くなるものは説明会が不可欠です。無理に1回でやるということはせずに分かった範囲で何回かに分けてやることで連絡が遅くなることを避ける方をお勧めします。

また、新人や中途採用者向けの説明資料も更新しておきましょう。作業手順書等の見直しも必要になる場合があるので、先ほどの書類委員会の仕事は意外と多いと思ってください。

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