デジタルトランスフォーメーション(その11)

今回もデジタルトランスフォーメーションについてお話しをします。今日は、DXを意識した政府IT新戦略についてです。

前回までにDXの全体像や指標、類義語を使ったお話しをしてきましたが、今回は少し変えて、政府のIT新戦略のお話しをします。

(その5)でDX推進指標をお話ししましたが、国自体もDXを進めようとしています。去年までIT利活用に積極的に取り組んでいる企業を「攻めのIT経営銘柄」と言っていたものが今年から「DX銘柄」と名称が変わったり、IT経営の関連資料がいつの間にか経済産業省内でリンク切れになったりと移行中な感じがありますが、DXというキーワードに置き換わっていくようです。

そこで、2020年7月17日に閣議決定した「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」(通称、IT新戦略)のお話しを少し知っておくと自社にDXへの取り組みに役立つと思い、紹介します。この宣言はもともと2018年6月15日に閣議決定したものを2019年6月14日に一度変更し、さらに新型コロナの影響を踏まえて、変更したものです。

ちなみにその前は「世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」(2018-2013)、その前が「i-Japan戦略」、その前が「e-Japan戦略」なので、2年ぐらい前からデジタルという言葉が出てきました。(ちょうど、DXが認知されてきた時期と一致するのがなんだかなぁという感じですが・・・)

少し脱線しましたが、今回のIT新戦略は基本的な方針こそあまり変わっていませんが、個々の内容はかなり変わってきました。新型コロナの影響で、社会・価値観が大きく変わったとともにIT利活用が未熟で補助金等の手続きが遅れたり、捺印の慣行などでテレワークに支障が出たことなど不備が明らかになった。今後の「ニュー・ノーマル(新しい常態・常識)」に向けて、大きく変えていく必要があることを全面に出した内容になっています。平たく言うとコロナで「日本のIT利活用は全然だめじゃん」ということがようやくわかったという感じです。

基本的には「国民の生命を守り経済を再生するための、データ利活用」と「接触機会を減らし利便性を向上させるための、デジタル・ガバメント」を実現するためにデジタル強靭化として

・働き方改革(テレワーク)
・学び改革(オンライン教育)
・くらし改革(手続のデジタル化・オンライン化)
・災害対応(防災×テクノロジー)
・社会基盤の整備(5Gなどの次世代インフラ整備等)
・規制のリデザイン(デジタル活用の制限解除)

を行い、実際に社会に実装させるといった内容になっています。

この中の「社会基盤の整備」の施策の1つに建設分野におけるデジタル・トランスフォーメーション(DX)が挙げられています。「建設工事の現場において非接触・リモート型の働き方に転換する等、感染症リスクに対して強靱じんな経済構造の構築を加速すること」の課題に対して、「設計・施工から維持管理に至る一連のプロセスやストック活用をデジタルで処理可能とすることや熟練技能のデジタル化を進めること等により、抜本的な生産性向上と非接触・リモート型への転換を進めるDXを推進する」と記載されています。

具体的には一連の建設生産・管理システムの効率化・高度化を図るBIM/CIMについて、令和5年度までに小規模なものを除く全ての公共工事で活用するように転換していくことや従来は現場で目視や実測により行っていた施工状況や材料等の確認や監督検査について、映像等のデジタルデータを活用し、遠隔での業務や電子的な自動処理により省力化する等、建設業の新しい働き方への転換に取り組むと書かれています。

これを踏まえて、始まった「国土交通省インフラ分野のDX推進本部」の第2回会議(2020年10月19日)で

・行政手続きや暮らしにおけるサービスの変革
・ロボット・AI等活用で人を支援し、現場や暮らしの安全性を向上
・デジタルデータを活用し仕事のプロセスや働き方を変革
・DXを支えるデータ活用環境の実現

のうち、下3つが具体的な施策となっています。こちらは今までと大きく変わっているわけではありませんがこれから建設関連のDXを自社で進める上での参考になると思います。

◆第2回国土交通省インフラ分野のDX推進本部 資料2
https://www.mlit.go.jp/common/001368784.pdf

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