現場でのタブレット端末活用(その8)

 前回に続き、現場でのタブレット端末活用についてお話しします。今回は少し細かい話になりますが、防水・防塵基準についてです。

 現場でタブレットを操作する際に必ず障害になるのが雨や湿気などの水気やほこり、砂などの風塵と呼ばれるものです。普通のパソコンにはファン(扇風機の小さいもの)がついていますが、放熱として、中から外に空気を出すのではなく、吸気として、外の冷たい空気を中に入れるようになっています。結果として、ほこりを中に吸い込むことになっています。そのため、普通のパソコンを現場に持ち出すとあっという間にパソコン内部がほこりまみれになります。

 現場のパソコンは寿命が短いとよく言われますが、この吸気ファンや隙間から入るほこりで大きいな要因だと思います。ノートパソコンはファンが小さくて放熱しにくい代わりにほこりも入りにくいですが、デスクトップなどは定期的に中を確認し、エアーブラシ等で掃除することをおすすめします。(もちろん、コンセントは抜いてください)

 さて、少し脱線しましたがタブレットはファンではなく、本体に放熱性の高いアルミ等の材料を使うことで熱を逃がしています。しかし、隙間がないわけではなく、長時間現場のようなほこりっぽく湿度が高い場所で使用すると故障しやすくなります。そのために多くの現場向けIT機器は防水・防塵を施しており、世界基準規格で表現してあります。

 みなさんが一番よく見かけるのはスマートフォンでの表示ではないでしょうか。スマートフォンでの表示でIPX5/IPX7といったものをよく見かけると思いますが、これはIP(Ingress Protection)という機械・器具に対する侵入保護の基準です。

 三文字目が防塵(正確に言うと固形物)、四文字目が防水(正確に言うと液体物)への対応を表し、Xは規定していないという意味です。なので、IPX5だと防塵はわからないが、防水は5(いかなる方向からの直接暴噴流の水によっても有害な影響を受けない)というものを示しています。逆にIP4Xだと防水はわからないが防塵は4(直径1mm以上の固形物の侵入に対して保護されている)というものを示しています。それぞれの等級の内容は

 IPX8 水中型 継続して水没しても内部に浸水しない
 IPX7 防浸型 30分1m水深で水没しても水没しても浸水しない
 IPX6 耐水型 あらゆる方向からの強い噴流水でも影響がない
 IPX5 防噴流型 あらゆる方向からの噴流水でも影響がない
 IPX4 防沫型 あらゆる方向からの飛沫でも影響がない
 IPX3 防雨型 鉛直から60度の範囲での水滴でも影響がない
 IPX2 防滴2型 鉛直から15度の範囲での水滴でも影響がない
 IPX1 防滴型 鉛直から落ちてくる水滴でも影響がない

 IP6X 耐塵型 粉じんは侵入しない
 IP5X 防塵型 機械の所定動作を阻害する粉じんは侵入しない
 IP4X 直径1.0mm以上の固形物が侵入しない
  IP3X 直径2.5mm以上の固形物が侵入しない
  IP2X 直径12.5mm以上の固形物が侵入しない
  IP1X 直径50mm以上の固形物が侵入しない

となります。ちなみにIPX1~X4が生活防水、それ以上を完全防水と表現することもあります。

 スマートフォンはポケットなどに入れておくことが多いので、ほこりより雨で服がぬれたり、汗などの湿気からまもることが大切なので防塵の話はあまりのっていませんが、タブレットのように表に出す場合はそうもいってられません。なので、防塵に対応したものを選びましょう。

 実際に販売されているものではソニーのAndroidタブレット「Xperia Tablet Z」はIPX5/7でIP5Xの防浸防塵型になっていますし、富士通のWindows8タブレットはIPX8のIP5Xで水中型防塵型のものがあります。値段としては少し高くなりますが、現場でも安心して使えるのは魅力です。

 残念ながら、iPad本体にはそのような記載がありませんが、市販の防水カバーの中にはIP57(防浸防塵型)のものがありますので、それを購入することで同様の性能を確保できます。他のタブレットにも使えるものがありますので、購入した機種の防水性や防塵性が心配な場合はカバーを購入しましょう。

 いずれにしても現場で使うのであれば、防水と防塵双方への対応を忘れないようにしてください。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする