現場でのタブレット端末活用(その7)

 前回に続き、現場でのタブレット端末活用についてお話しします。今回はタブレット端末のOS(基本ソフト)選びについてです。

 タブレット端末とは、平板型でキーボードがついていないタッチパネルの表示装置がついたコンピュータ機器をさします。ただし、その中で動くOS(基本ソフト)はいくつかの種類があり、それぞれ特徴があります。今回はその特徴を使う側の視点でお話しします。

(1) iOS

 ご存知アップル社のiPadに入っているOSです。ハードウェアとソフトウェアを1社で作成しているので、ハードとソフトの一体感がすごくあります。また、追加できるアプリはApp Storeと呼ばれるアップル社運営のサービスのみからしか入手ができないため、制約が大きいですが、代わりにセキュリティ的に安心感が高い状態を維持できています。1社独占でハード、ソフト、サービスを提供している点が良い点で作用しているようです。

 結果としてセキュリティを意識した企業での採用例が多いです。ただし、開発はMacが必須なので、開発環境を整えるのに少し苦労があります。

(2) Android

 検索サービス大手のグーグル社が提供するOSです。OS自体が無償で提供されているため、多くのメーカーから製品が発売されています。また、アプリも公式サイトはあるもののその他からの提供も可能になっているために野良アプリと呼ばれる非公式アプリも多く配布されています。

 iOS とは対照的に機種もアプリもサービスも様々な企業から提供されており、ニーズに応じたものが豊富に選択できる点は魅力的ですが、一方でセキュリティ的には正式サイトでもマルウェア(悪意のあるアプリ)が見つかっており、あまり安心とは言えません。

 企業内で使うにはセキュリティ対策ソフト導入が必須であると同時にアプリ導入に一定の制約をつける業務ルールや一般データと切り離した管理をするなどきちんとした仕組みづくりが必要です。

 アプリ開発の環境整備が容易なことや価格の安いタブレット端末を入手することが可能なため、独自にアプリ開発をして利用したい企業や低コストで多くのタブレット端末を利用したい企業で採用されています。

(3) WindowsRT

 マイクロソフト社がタブレットでの利用を意識して、ARMという種類のCPU(主にスマートフォン等で利用されており消費電力が低いのが特徴でモバイル機器に多く使われている)で利用できるWindowsです。ただし、既存のWindowsと異なり、端末にあらかじめ導入されたものしか販売されておらず、ソフトもあらかじめ導入されているものかWindowsStoreで提供されているものしか使うことができません。特に困るのは既存のWindowsソフトは動かないということです。

 このOSはマイクロソフト社自身も「Surface」というタブレット端末を販売しており、アップル社に近いような体系を取っています。(他社製品も販売しています)価格も比較的安く、消費電力が低いため、バッテリーが長持ちするなどのメリットがありますが、上記のように既存のWindows ソフトが動かないこともあって、様子見になっている企業も少なくないようです。

(4) Windows8

 マイクロソフト社の最新OSです。タブレットを意識しているかどうかはわかりませんが、タッチパネルでの利用が行いやすいModernUIという画面インターフェイスが採用されており、従来のWindowsよりタブレットに向いていると思います。

 また、Atomというインテル社のCPUが低消費電力でありながら高性能なものになってきており、以前のような動きの悪いとかバッテリーのもちが悪いとかいう理由でとにかく使い勝手が今一歩といったものは減ってきているようです。ノート用CPUも省電力高性能化しており、タブレット型も増えてきています。

 最大のメリットは既存ソフトがほぼそのまま使えるということです。タッチパネルならではの入力のしにくさをカバーできるような入力支援がソフト側で実現できるのであれば、既存ソフトを利用したい企業には最有力候補となると思います。ただし、価格は他のOSのものに比べて高いのと重量的にも重いものが多いです。

 いずれのOSも一長一短があります。自社の目的に応じたOS選びを検討してください。

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