現場でのタブレット端末活用(その3)

 前回に続き、現場でのタブレット端末活用についてお話しします。今回は現場での具体的な利用例をいくつか紹介します。

 利用の最大のポイントは「タブレットの得意分野に目的を絞る」ということは前々回にお話ししました。今回はそれを踏まえた事例をお話しします。

(1) 紙なら大量になる電子データを参照する

 現場では図面や仕様書など手元にあると助かるがかさばって困るというか重かったり、大きかったりする紙にあふれています。できるだけ絞り込んでコピーした書類や図面を折り畳み図面ファイルなどに入れて持ち運んでいることが多いのではないでしょうか。

 タブレットであれば、仕様書はもちろんのこと、図面も丸ごと入れることが可能です。また、最近のタブレットはピンチズームといって2本指を広げたり狭めたりすることで拡大縮小が簡単にでき、細かい図面や仕様書の文字も大きくしてわかりやすく確認できます。

 あらかじめ入れておけば通信する必要はないため、通信できないタブレットでもOKですが、通信できるものであれば、現場から事務所のサーバーにアクセスして最新情報や不足情報を見ることも容易にできます。タブレットの最大のメリットである電子データをすばやく容易に見ることをいかせる業務は効果が大きいと思います。

 特に中間検査や立会検査の際に発注者に見せることで心証アップにも貢献できるかもしれません。そうではなくても準備資料以外の関連資料を気軽にもっていけるのは検査をスムーズにすすめるにはとても有効です。

(2) 動画やアニメーションなどでわかりやすく表現する

 紙ではできないことに動きを表現することがあります。写真やイラストで表現することが多い安全事項や現場ルールも動画やアニメーションで表現することができれば、興味も高くなり、理解度アップにも貢献できると思います。

 具体的な利用例としては新規受入教育の際の教育資料として、建設手順のアニメーションを見せたり、安全教育映画の動画を見せたりするのは効果的だと思います。受入教育対象者が複数名の場合は、最近のタブレットの外部出力を利用して、画面を少し大きいモニターやテレビにつないでみせることで対応できます。

(3) 簡単な記載事項を電子データとして記録する

 タブレットは長文入力や表作成などは得意ではありません。しかし、決まった書式に短文を入力するとか数字を入力するのであれば持ち運べる分威力を発揮します。

 具体的にはコンクリート品質管理や鉄筋検査等の書式が決まっていて、数字もしくは選択、チェック等で済むものであれば、あらかじめ準備しておいた書式に入力すれば済みます。入力そのものは紙でも大きな差はないのですがメリットは、電子納品のために電子化する際に手書きの入力データを転記する必要がないことやあらかじめ計算式などを埋め込んでおけば、検査合格の判定やチェック用の簡易算定を電卓など叩かずにできるというところです。現場での出面チェックや生コン台数の確認や杭の配合記録なども転記することなくそのままデータ化できるのは便利だと思います。

(4) カメラとメモを活用する

 携帯電話でもできることですが、カメラと簡易なメモをつかうことで安全パトロールなどの記録に使うこともできます。

 タブレットならではの使い方をするならば、写真を撮ってから、手書きメモアプリなどで直接注意点を記入して、担当者や関係業者にその場で見せるというのもいいと思います。特に不安全設備の指摘なら写真を同じアングルで撮ってもらうことで是正前、是正後を比較することも容易です。通信ができるものであれば、写真つきメールにしてその場にいない担当者にもすぐに送ることができます。

 もちろん、状況写真ぐらいならデジタルカメラ替わりもなりますが、ズームやフラッシュが必要な写真には向きませんのでなんでもタブレットでというわけにはいきません。このへんはまだ使い分けが必要なところだと思います。

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