高速モバイル通信(その4)

 前回に引き続き、現場のネット環境のための高速モバイル通信についてお話しします。

 今回は実際に現場で構築した経験をもとに現場環境構築を3つのパターンでお話しします。

(1) 無線LANのみ(小規模現場)

 プリンターやネットワーク型ハードディスク(以下NAS)等の共有機器が少ない場合はイーサネットコンバータというものを使って無線LAN対応にしてしまい、全部モバイルルーターに無線LAN経由で接続してしまうのが便利です。ハブと一体型で4千円から5千円程度で購入できます。単体だと2千円強で購入できますがハブを別途必要とするので一体型をおすすめします。

 これで共有機器とイーサネットコンバータ以外は完全に無線になり電源ケーブルさえ気を付ければ、LANケーブルで足を引っ掛ける心配なく、設置撤去も簡単にできます。

(2) 有線LANと無線LANの混在(中規模現場)

 プリンターが複数台あり、NASや写真共有サーバー等を有線で共有しながら、パソコンは無線でやりとりをしたいというニーズがあります。このときの一番おすすめの方法はモバイルルーターにクレドールという周辺機器を使います。

 クレドールというのは充電や周辺機器を接続するための拡張機器です。機種によってはクレードルがないものもありますので、購入の際には注意してください。

 クレドールには有線LANの接続ができるようになっており、これを介して他の有線LANと接続することで一般的な無線LANルーターの親機と同じことを実現することができます。つまり、パソコンは無線接続で共有機器は有線接続という環境ができるのです。台数に制約が出る可能性もありますが、小規模現場であれば問題ないと思いますのでおすすめです。

 なお、モバイル高速回線がWimaxの場合、最初から固定的に使うことを前提とした機種(Aterm WM3450RN等)もありますので、現場のみで使い、外出先等で持ち出さないのであれば、そのような機種を購入するのもありです。

(3) 部分的なパソコンでの無線LAN利用(JV現場)

 JVで共有機器(プリンターやNAS)は全員で使うが、インターネットは各会社ごとに使うといった時、共有機器は有線LANで行い、JVで用意するが、インターネット接続はは各企業で用意するようにといったことがあります。特にスポンサーではなく、サブで現場に入った会社ではこのような依頼があると思います。このようなときにインターネット回線を高速モバイル通信にします。

 その際のポイントは、有線LANと無線LANのIPアドレスのグループを別々にしたうえでパソコン側で有線LAN用のIPアドレスを固定アドレスにしてゲートウェイアドレスを指定しないようにすることです。もちろん、パソコンはLANケーブルで接続したうえで無線LANもONにし、物理的には両方に接続するようにしてください。

 ちょっと専門すぎて難しいかもしれませんが、有線LANと無線LANで2つのゲートウェイアドレスがあると有線LANが優先されてしまい、本来インターネットにつながる無線LAN側のゲートウェイにたどりつかないからです。

 最近はセキュリティの関係上、JVではレイヤー3スイッチというネットワーク機器によるVLANという建設会社ことにネットワークの分割し、共有部分だけつながるようにネットワークを構築するケースが増えてきていますが、レイヤー3スイッチはまだ高いため困っていることをよく聞きます。上記の設定によって、比較的安価に構築することが可能になるので、一度検討してみてはいかがでしょうか。

 最後のJV現場のパターンは専門用語が多く、今一歩ピンとこなかった方も多いかもしれません。ただ、前2つは比較的簡単に構築できるものです。電子納品や情報共有など現場のIT化は待ったなしです。固定回線のように現場単位でいちいち契約せずにすぐに構築できて、普通の用途には充分使える高速モバイル回線。便利だと思います。

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