高速モバイル通信(その3)

 前回に引き続き、現場のネット環境のための高速モバイル通信についてお話しします。

 今回はスマートフォンのテザリング機能について紹介します。

 テザリング(tethering)とは、もともとつなぎとめるという意味です。スマートフォンのテザリング機能はパソコンやゲーム機などのIT機器をスマートフォンの通信回線を使ってインターネットに接続できるようにするものです。昔の言葉でいうと外部モデム機能がスマートフォンでできるということです。

 海外では以前からできていましたが、日本では通信回線の負荷からなかなか始まりませんでした。そのため、前回紹介したように通常はモバイルルーターと呼ばれるインターネット接続機器を用いて、インターネット環境をつくっていました。しかし、2010年にドコモとイーモバイルが一部の機種で提供を始めて、続いてauが提供を開始し、2012年にiPhone5 の発表に伴い、ソフトバンクからも提供されるようになり、全社そろい踏みになりました。そのため、テザリング機能を活用した高速モバイル通信が注目されるようになったのです。

 新しいスマートフォンを所有している、もしくは購入を検討している方は別途モバイルルーターを購入することなくパソコンでの高速モバイル通信が行えるようになるということです。料金はテザリング機能を使うために追加料金を払う必要はありますが、スマートフォンだけで通信環境が整うのはとても魅力です。

 しかし、注意すべき点がいくつかあります。

(1) 接続台数がモバイルルーターより少ない

 iPhone5だと5台、Android端末で8台と接続台数に制限があります。自分の分だけをつなぐには特に問題ないと思いますが、モバイルルーターが10台だからと間違わないようにしてください。

(2) 通信量による速度制限がある

 これはモバイルルーターにもあるのですが、つなぎたい放題というわけではないということを覚えておいてください。月で7GBを超える通信量を行った場合には速度制限がかかり、とても遅くなります。メールや普通のサイト閲覧であれば問題ありませんが、ソフトのダウンロードや動画閲覧などが多いと制限に係る可能性があります。また、パソコンの設定によっては自動的にソフトのアップデートのためのデータをダウンロードすることもあり、知らず知らずのうちに通信量が増えていることもあるので注意してください。

(3) バッテリー消費が大きい

 最大の問題はテザリング機能を使うと使わないときに比べて、バッテリーの消費が大きくなります。最近のスマートフォンはだいぶ容量の大きいバッテリーをもつようになりましたが、それでも動画閲覧をしたり、通信を多く行うアプリ等を使用するとバッテリーは1日もたなくなることがあります。テザリング機能で通信をしているとさらにバッテリーが少なくなるので、大事な特に電話ができなくなるなどの問題が発生するかもしれません。予備バッテリーか外部バッテリーを準備することをおすすめします。もちろん、充電しながらでも使用できますので、電源が確保できるところで使えるのが一番です。特にノートパソコン等にUSBケーブルでスマートフォンをつなげば、充電しながら使えますので一人で使うときにはおすすめです。

 現場で共有して使うのには向きませんが、1人現場や喫茶店等でちょっと作業日報を書いて本社に送信みたいな使い方であれば、他の機器を購入する必要がないのでとても便利です。出張先で急にデータが欲しいときなどにも活躍します。料金体系などを確認して、賢く使ってください。

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