RFID・ICタグ(その6)

前回に引き続き、RFID・ICタグについてお話します。

前回は、無線技士の補足とRFIDへの書き込み方についてお話しましたが、今回は特殊用途に対応したRFIDタグです。

RFID・ICタグの特徴

RFIDは複数のタグを一括で読み取ることができたり、バーコードのようにコードを直接見る必要がないので、箱に入れたままでも読み取ることができたり、読み取るときの受信感度を利用して探すことができたりととても便利です。

また、貼り変えずにデータを書き換えられるので、転用もしやすく、保護シートの上から読み取れるので、汚れにも強いというのも魅力的です。

もちろん、バーコードに比べて、タグ自身もリーダーも値段が高いので、導入のハードルは高いです。ただし、繰り返し使うような管理方法ができれば、維持コストは安くなってくるので、最終的なコストは抑えることができるかもしれません。

RFID・ICタグの弱点

とはいえ、弱点がないわけではありません。RFIDは金属製です。そのため、商品が金属製の場合もしくは周囲に金属がある場合、金属との一体化で電波を発信する形状が見えづらくなり、通信が行えない状態になります。また、電波が反射してしまうため、通信がうまくできず、近距離でも測定ができないこともあります。

自動車メーカーはもちろん、金属製部品を利用している産業は多くあるのでこれではRFIDが使えないので困ってしまいます。建設業でも鉄筋はもちろん、鋼製部品は多くありますし、重機などの金属がない場所を探す方が難しいです。

さらに、金属製なので水というか液体に弱いです。水分自体が電波を吸収するために感度が落ちます。湿度の高い環境下もあまりいい状態とは言えないと思います。温度もあまり高温だと変形等をする可能性があるために望ましい環境とは言えません。

屋外はもちろん難しいですし、屋内でも湿度の高い場所はそれなりにあるので、利用範囲が狭まるのは困ったことになります。

高温環境と言われてもピンとこないかもしれませんが、アスファルトやコンクリートが直射日光を浴びる環境であるとかなりの高温になります。そのような場所でRFIDを使いたいこともあるので、その対策が必要です。

できるだけ金属を周りに置かない配置をしたり、高温や多湿を避けるような工夫を考えたりすることも重要ですが、現実的にできないこともあります。そのために、弱点を補うための特殊なRFIDがあります。

金属対応タグ、防水・耐熱タグ

まずは金属対応タグです。金属と一体的にならないようなケースに入れたり、取り付ける金属面と反対側のほうに電波が放射するような指向性をもたせる形状にすることで性能をできるだけ落とさないようにする工夫がされたタグです。

ほかにも防水、耐熱タグがあります。こちらも単に防水、耐熱に対応したケースに入れるだけでなく、水による感度低下や熱による変形に強い形状にすることでRFIDとして利用できるものです。

そのほかにも金属対応で防水、耐熱がついたものやケースとRFIDを分離して、差し替えをしやすくしたものや固定する際にずれにくくするような形状をしたものもあります。

特に防水対応のものは衣服にとりつけるランドリータグは種類が豊富です。貸衣装や制服等に縫い付けて、在庫管理をする際に利用できるのでとても便利です。木材を管理するためのタグも出ています。建設業でも利用できそうです。

最近は用途に応じて形状を工夫したRFIDが増えてきており、利用範囲は広がってきています。通常のタグに比べると高価なので、再利用やグループ、箱といった単位で管理するといった工夫も必要ですが、

以前ならRFIDでの管理をあきらめていた場所でも利用できるようになってきています。目的に応じたタグを探すか、メーカーに相談してみることをお勧めします。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする