RFID・ICタグ(その3)

前回に引き続き、RFID・ICタグについてお話します。

前回は、電池の有無や電波の伝達方式、周波数でいろいろなRFIDがあることをお話しました。今回は規格についてお話します。

前回も周波数のところで通信距離の話を少ししましたが、その距離によって、いくつかの国際規格があります。みなさんがよくスマホの機能の一つとして聞くNFC(近距離無線通信)が代表格でしょう。

NFCの国際規格

国際規格としてはISO/IEC10536(密着型)、ISO/IEC14443(近接型)、ISO/IEC15693(近傍型)があります。密着型は銀行のICカードと呼ばれるものの規格です。距離で数mmといった感じです。近接型は交通カードや電子マネーなど多く使われています。距離は10cm程度までです。近傍型は物流の商品タグに使われており、距離が70cmまでです。

これらは非接触型と呼ばれており、接触型はISO/IEC7816で規格化されていますが、NFCは非接触型です。

近接型の分類(MIFARE,FeliCa)

この中で特に注目は近接型です。この中にはさらにTYPE A,B,Fがあります。正確にはISO/IEC14443がTYPE A,B、ISO/IEC18092の規格でTYPE Fとなっています。

なんでこんな話になっているかというと、当初はISO/IEC14443はTYPE AとBだけでした。これに他の規格がTYPE CからGとして提案されたのですが、乱立防止のため却下されました。その後、交渉の結果、TYPE CがISO/IEC18092 TYPE Fとして認定されたのです。

「TYPE A,BとかFといわれてもピンとこない」方にもう少し具体的な話をすると、TYPE AはMIFARE(マイフェア)というオランダのNXPセミコンダクターズが開発してるものが有名で、NTTのICテレホンカードやタバコの認証カードtaspoに使われています。

TYPE Bは、モトローラ社が開発しているものが有名で、マイナンバーカードや運転免許証がこの規格で作られています。割と身近にあるものだと理解していただけたと思います。

紆余曲折あったTYPE FはFeliCa(フェリカ)です。ご存知の方も多いと思いますが、ソニーが開発したもので、スマホの機能としてはおサイフケータイと記載されているものですね。交通系ICカードや電子マネー、社員証など日本なら多くの利用例が見れるものです。こちらはもっていない人がいないレベルのものですね。

先ほどのMIFIREとFeliCaは開発時期はほぼ同じ1994年ごろなのですが、国際規格化で一歩遅れを取ったために世界ではMIFIREの普及が進んでいます。ネットでもこちらの規格のICタグの方が種類が多く比較的安いです。

MIFIREもFeliCaもデータ容量でさらに細かい分類があります。MIFIREは、Standard(Classic:後継がPlus)で768バイトと3KBで、UltraLightが64バイト、DESFireが3KBと8KBです。ちなみに名前の由来は「MIkron FARE-collection System」でもともとマイクロン社がつくった料金収集システムという意味です。

FeliCaはStandardが6KB、Lite-Sが224バイトです。こちらも名前の由来は「Felicity」と「Card」を組み合わで「至福をもたらすカード」とのことです。

容量、規格の選定ポイント

なぜ、容量や規格の話をしたかというと、これによってカードの種類や読み書き装置の種類が変わってくるからです。複数の規格に対応している読み書き装置もありますが、安いものほど単一規格である場合が多いです。カードと読み書き装置の規格が一致していないと無駄な投資になるので十分注意してください。

また、容量については、IDさえ入っていればいいのであれば、FeliCaならIDmが16桁で最初から入っていますし、MIfareであればUIDとして8桁の番号が振られています。これを利用すれば、世界中で唯一の番号なので、安心です。

それに対して、数量や商品明細、位置情報、入出庫時間といった情報までいれようとすると、容量が大きくないと入りません。そのため、カード内にどのような情報を入れるかで容量も重要になってくるのです。

ただし、多くのシステムは書換が容易になるようにシステム側にデータを持ち、検査キーとしてカードIDしか利用してないようです。利用状況によって判断してください。

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