前回に引き続き、RFID・ICタグについてお話します。
前回は特殊用途に対応したRFIDタグを紹介しました。今回は今までの情報を踏まえた導入手順をお話します。
目的に応じたICタグとリーダーの選択がカギ
バーコードと違い、RFIDは様々な種類があり、目的に応じて選択をしないと有効に活用できません。また、性能のいいものとそうでないものの価格差も大きいために適切なタグを選ばないと初期費用やランニングコストが大きく変わります。
そのため、導入手順は、まずは導入目的を明確にすること、次に対応したRFIDタグの選定、最後にリーダー選定の流れになります。
出退勤の場合
例えば、導入目的が出退勤を容易にするとかセキュリティ対策として、カード形式のロックドアを設置するのであれば、リーダーとの距離が近距離でも問題ないことと出来るだけ容易にタグが用意できることがカギになります。この場合はNFCを含むHF帯のICタグがお勧めです。
端的に通勤等で交通系ICカードを社員が所有していれば、それをそのままカードキーにすることもできますし、出退勤の記録も駅の改札を通るような感覚で玄関に着けたカードリーダーにタッチで済ませることができます。
また、NFC対応スマホであれば、カードも不要でスマホで同様のことができます。iPhoneなら7以降であれば、利用可能なのです。アンドロイドスマホもその少し前から利用可能でした。
なので、ここ8年間ぐらいスマホを買い替えていないとか廉価版のスマホしか利用していない社員がいない限り、スマホ内の交通系ICカードを利用することができます。車で通う方でも利用できるのいいと思います。もちろん、プライバシー的に問題と感じる場合はAmazon等でカードが販売されているのでそれを利用してもいいと思います。
こちらはリーダーも比較的安価に購入できるので、ある程度実践的に初めてみてもいいと思います。ただし、読み取れるのは番号だけなので、対応したソフト・アプリで利用するようにしましょう。
在庫管理の場合
在庫管理で在庫場所を探したいとか、箱単位でいいので入出庫を自動的に記録したいとかいう場合は、ある程度距離が離れてても読み取れた方がいいので、UHF帯のICタグにしましょう。
これならば、数m離れても、情報を拾うことが可能なので探すのにも便利です。ただし、金属や水分は苦手なので、場所によっては専用のタグを購入する必要があります。また、リーダー側もかなり高価なものになるので、設置場所を特定して、リーダーも多く準備しなくても済むようにしましょう。
例えば、探す場合は1台だけ高性能なリーダーで探す専用として入出庫記録はもう少し廉価なリーダーにするとか、ゲート型アンテナを1か所設置して、入出庫はそこからしかしないといった工夫を考えましょう。
また、先ほどのNFCとは異なり、全体的に費用が高いので、必ず試行運用を行い、希望する能力を発揮できるかを確認しましょう。タグとリーダーを含めて、有償ですがレンタルできるところもありますし、メーカーでも評価版を貸し出してくれることがあります。叶えたい能力をメーカー等に相談して、お試しすることをお勧めします。
また、管理単位を小さくしすぎると管理は行いやすいですが、必要なタグが多くなってしまいます。箱やケース単位、もしくはパレット単位と大きな単位から初めて、徐々に小さくしていくようにしましょう。ICタグが高価なので、使いきりにならないようできるだけ再利用を前提にした使い方を検討してください。
目的や予算に応じて、導入するタグとリーダーが変わります。費用対効果も視野に入れて、小さく始めて大きく育てるようなステップ導入で進めていきましょう。