RFID・ICタグ(その2)

前回に引き続き、RFID・ICタグについてお話します。

一口にRFIDといっても、様々な種類があります。今回は具体的にどのような種類があるのかをお話します。

分類1:電池の有無

まずは、電池の有無です。みなさんがよく見かけるRFIDはパッシブタイプといって、電池がなく、リーダーからの電波から電力を得て、情報を提供するタイプです。薄い紙にようなもので、しおりサイズで使えます。ただし、通信距離は10m程度が限界で、状況によりさらに距離は短くなります。まとめ買い次第ですが、数円から数十円といった感じです。

次にアクティブタイプです。これは電池が内蔵されており、みずから電波を発信します。サイズ的には名刺を十数枚重ねた少し厚みのあるものです。通信距離は100m近く飛ぶことが可能ですが、電池の交換が必要なことと値段が高いことが難点です。数百円から数千円します。数を多く使うと初期投資だけでいい金額になります。

この間をとったセミアクティブタイプもあります。こちらは特定の信号を検知したときだけ反応するものです。サイズもアクティブタイプを少し薄めにしたものです。要は受信用センサーの電池分だけで動き、センサーが反応後は、パッシブタイプ同様、リーダー側の電波で動くものです。通信距離は数十mとちょうどパッシブタイプとアクティブタイプの間の距離です。値段も真ん中あたりです。

分類2:電波の伝達方式

分類は電波の伝達方式でも二つに分かれます。一つは電磁誘導方式です。誘導電磁界方式とも言います。コイル状に巻いたタグとアンテナで磁束結合させて伝達させる方法で、伝達速度は遅く、通信距離も短いですが、その分しっかり伝わるというメリットがあり、近接型、近傍型として利用されています。交通系ICカードのFelicaがこの方式を使っています。

もう一つが電波方式です。放射電磁界方式ともいいます。平板型のアンテナをつかって、リーダーから電波を発信し、その反射波によってデータ転送を行う仕組みです。皆さんがイメージしているICタグはこちらのほうだと思います。

分類3:周波数帯

上記の分類にも関係するのですが、利用している周波数帯にも違いがあります。

一つ目はLF帯(30kHz-300kHz:長波帯)。ICタグで利用しているのは、130-135kHzで、電磁誘導方式で利用されています。一番最初に使われていた周波数です。通信量が少なく、距離も短いのですが、水分の影響を受けにくいこともあり、回転寿司のお皿はこれが使われているようです。ほかにもスキー場のリフト券でもICタグはこれだそうです。

二つ目はHF帯(3MHz-30MHz:短波帯)。ICタグで利用しているのは13.56MHzので、こちらも電磁誘導方式で利用されています。LF帯同様、通信量が少なく、距離も短いのですが、LF帯より小型ができるメリットがあり、交通系ICカードはこの周波数帯を利用しています。スマホに使われているNFCも同様です。ほかには、病院で使っている患者のリストバンドもこれです。

三つめはUHF帯(300MHz-3GHz:極超短波帯)。ICタグで利用しているのは2つあり、一つが433MHzで、海外コンテナ用に使われていますが、アマチュア無線と干渉するので、利用度は少ないようです。もう一つが920MHzです。電波方式で利用されおり、最近のICタグの話はこの周波数帯での話をしています。通信距離が2,3mから5m程度まであるので、アパレル店舗の在庫管理や物流倉庫での棚卸、ロケーション管理で利用されています。

四つ目がSHF(3GHz-30GHz:超高周波帯)。マイクロ波帯と呼ばれる周波数です。本当はUHF帯に入る2.45GHzでの利用ですが、分類的にこちらに入っています。電子レンジや無線LAN等と同じ周波数帯なので、電波干渉に問題があります。金属の影響を受けにくいのとアンテナが小型化しやすいのがメリットです。

ちなみにMF帯(300kHz-3MHz:中波帯)とVHF帯(30MHz-300MHz:超短波帯)はICタグでは利用されていません。

いろいろお話しましたが、利用したい用途によって、選ぶICタグが異なるので、価格や宣伝につられて間違った選択をしないように注意してください。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする