議事録

 みなさん、議事録は作成されたことがありますよね。議事録という表現がピンと来なければ、打合記録ならピンときますかね。要は、複数名の関係者が参加した時に残す記録のことです。

 情報共有を進める際にこの議事録がとても重要なカギを握ります。議事録をきちんと作成し、必要な関係者に回覧できている企業はITを活用した情報共有(グループウェアやメーリングリスト)が比較的スムーズに導入できます。一方、議事録を作成するのが上手でない、それどころか議事録がなく、各自参加者のメモのみしかない企業や議事録は作成しているものの形式的で回覧してもチェックも入らない企業は情報共有系のITはなかなかうまくいきません。

 情報共有が重要だとあちらこちらで叫ばれていますが、これを解決するのはITだけではありません。日ごろの情報に対する行動や意識がないとだめなのです。その目安のひとつである議事録について何回かに分けてお話しします。

1.議事録の目的

 まず、議事録の目的はなんでしょう。「会議で話した内容を漏らさず記録すること」ですか?いいえ、違います。いくつかの目的があるのです。

 ひとつめは「会議の目的とその結果」を明示することです。商品アイデアを出すブレーンストーミングのような会議であれば、個々の発言は重要かもしれません。しかし、「追加工事について」の会議であれば、追加工事を認めてもらい、必要な金額を確定できたかどうかを記載し、その条件が書かれていれば、個々の発言は不要です。同様に進捗報告の会議であれば、進捗がわかればOK。そこに問題が発生していた場合は、問題内容、対策、責任者が明示されていればいいし、検討事項になっていれば、いつまでにすべきかが必要なのです。議事録は会議で議論した内容を整理し、次を考え、行動できる羅針盤のような存在にならなければいけないのです。

 会議の目的に応じて、議事録の書き方は変わります。ただし、プロジェクト会議のように定期的なものであれば、できるだけ書式を統一したほうがのぞましいでしょう。会議の目的が意識できていない議事録はその時点でだめだと思ってください。

 ふたつめの目的は、参加メンバーの合意書です。ある施策に賛成派と反対派がいて、会議である合意を得たときに「いった、いわない」にならないように合意内容を明示し、参加者のサインをもって了承を得ることが大切です。この目的を達成するには議事録の読みやすさはもちろんですが、関係者への回覧を確実に回すこと、関係者が内容をきちんと読み、了解したうえでサインをすることです。

 「サインはしたけど、中身には納得していない」などという人がいるようでではだめです。中身が納得できていなければ、議事録にこの点が合意点と違うなどの指摘を書くべきなのです。必要に応じて修正を行い、再回覧するぐらいでないとだめです。

 みっつめの目的は、会議に参加できなかった関係者への報告・連絡・相談のためです。先ほどの進捗報告会議で検討事項(未決定事項)があり、その担当者が出席者でなかった場合はその人に検討事項を遂行するのに必要な情報を提供する必要があります。時には会議内での経緯も必要かもしれません。

 会議の目的を達成するために必要な検討事項がそれをやるべき人に適切な情報を渡せなければできるわけがありません。その情報を確実にわたすことを行うことが議事録の目的なのです。

 最後にもっとも基本的な目的として、忘備録というものがあります。人間は2日たつとあやふやな記憶の半分は失われるといわれています。記録を残すことで、同じことをまた議論しないで済むように、決定したことをまた覆さないように、検討事項をスムーズに処理できるように忘れないでおくための記録なのです。

 議事録の目的が理解できれば、大切さがよりわかると思います。

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