前回に引き続き、会社でのスマホの利活用についてお話します。
前回は、現場の検査・立会についてお話しましたが、今回は作業マニュアルについてお話します。
若手育成の課題
ここ数年、人手不足の話は耐えることがありません。建設業においては、数十年といった単位で不足の話をしています。しかも求めている人材は即戦力なため、同業他社の経験がある方への中途採用は盛んですが、新卒や未経験者といった採用は育成に時間がかかるため、ちょっとという中小企業が少なくありません。
育成の課題になっているのは様々な法令や基準、作業手順といった内容を新人にわかりやすく伝えるための手段です。OJTと称して、「俺の背中を見て、自分で学べ!」といった昔の手法は通じないため、せっかく採用しても長く続かず辞めてしまいます。
一度聞いたらすぐにできるような作業だけでないので、昔ながらの手法だと、どうしても何回も指導者に聞くことになります。指導者も自分の仕事を抱えながらの指導なので、1回目以降は少しおざなりな対応となります。忙しそうにしていると聞くこと自体も新人には、ハードルが高く、結果として作業スキルが身につかないといった悪い状況が発生するのです。
また、採用を控えている企業だと高齢者と若手といった年齢ギャップが大きいこともあり、さらに教育に対するハードルがあがっていると思います。最悪の場合、スキル継承が必要な加工技術をうまく伝授できずに、会社全体の技術レベルが下がって、仕事が受注できず、廃業せざる得なくなるといったケースもあります。
動画撮影による作業マニュアル
このような時にスマホの動画撮影による作業マニュアル作成がおススメです。指導者は従来のOJTのような形で、現場で実際の作業を見せながら、注意事項や作業のポイントを口頭で伝えます。これを教育される側がスマホで動画撮影をするという方法です。
これによって、注意事項や作業ポイントを後で繰り返し確認することができるので、教育される側は何度も指導者に聞く必要がなくなりますし、指導者も聞かれることが減るので、お互いの精神的負担感はぐっと減ります。
また、動画で記録を取っているので、不明な点を指導者と一緒に確認できる分、指導者の対応時間も少なくなり、時間的拘束も減ります。動画に取られるということは間違ったことも言えないため、指導者側も準備に熱が入るといったメリットもあるようです。
この際にブレた動画だと見づらいので、できれば、ジンバルと呼ばれる電動のスタビライザー(安定装置)を購入されることをおススメします。1万円前後ぐらいのが高いですが機能としては安心です。固定したアングルで撮影できるのであれば、安価な三脚だけでも大丈夫です。手持ちで撮影するのはあまし推奨しません。
AIを活用してもっと便利に
最近はさらに動画からしゃべった内容をテキストに抽出してくれるサービスが増えてきています。自動字幕生成をして動画に埋め込んでくれるサービスも出てきています。
指導者の説明が適切であれば、しゃべっただけで作業マニュアルが作成できるということが可能になります。もちろん、わかりやすくするとか、最初のOJTなしで作業マニュアルを見るだけで作業手順やスキルを習得できるようにするとなると、もう少し手間暇をかけて動画編集をしたほうが望ましいです。
しかし、一度OJTでリアルに作業を体験しつつ、撮影動画やテキスト化した作業マニュアルで確認できるのであれば、そこまで凝ったものにしなくても不要です。同じ作業動画を何回か撮影してもらいAI側で複数の動画を通して、共通する注意すべき点や作業のポイントを抽出するといったことも可能です。
従来型のOJTにスマホとAIを組み合わせることで今までよりずっと簡単に確実に作業や技術を伝えることができるようになってきました。ぜひお試しください。