経営改善と業務改善(その11)

今回も経営改善と業務改善についてお話します。

前回は期限の話しをしました。「納期(タイム)」を管理するということは終わりだけでなく、始まりとその中の活動時間の3つをきちんと計画して、管理するということをお話ししましたが、具体的にはどのような点を意識するかを今回お話します。

まずは、計画の期間です。経営改善の内容によりますが、長いものになると10年といった期間になることもあります。当然、詳細な情報までは記載するのは難しいので、最終目標とそのための手段概要を簡単にまとめたものになります。一般的に長期経営計画とか経営戦略計画書といったものです。

これだけでは、具体的な改善を実施するのは難しいので、期間を短くしていきます。3年から5年程度の中期経営計画、1年単位の年度経営計画がそれにあたります。このときに注意することは目標もその期間に応じて、細かなものにすることです。仮に10年で売上倍増なら、5年だと今の5割増し、3年だと2割もしくは3割増程度といった内容に変更します。

年度計画はさらに具体的にしていく必要があります。売上ならば、顧客別やサービス・商品別に分けて、個別目標を設定することで、全体的に売上を上げるのではなく、自社の強みや強化したい分野に特化して売上を伸ばしていくということになります。当然部分的になるので、全体売上2割UPを目指すために個別売上は前年比1.5倍とか2倍といった高い目標を設定することになります。

このように年度まで作成すると10年後の目標の難易度が明確になります。そうすることで、改めて、目標の下方もしくは上方修正やそのためのさらなる対策が検討することになります。

売上目標のような数値目標は10年計画であれば、年単位で顧客もしくはサービス別に試算することで実現性の確認をすることをお勧めしています。

さて、業務改善だと年度計画でも十分ではありません。できれば週単位、最低でも月単位で目標を設定し、そのための具体的な施策を明示する必要があります。この時に注意すべきことは日常業務と改善業務の兼ね合いをどのようにするかを明示しておくことです。

例えば、週に〇〇時間は改善時間とする。もしくは改善活動といった小集団活動の時間を週の特定の時間に設けて、その時間は日常業務はとめるといったルールを決めることが望ましいです。改善による効果を費用に換算すれば、どの程度の時間を割くべきかも見えてくるはずです。中には効果を金額に算定しづらい改善もありますが、その場合は、一定の金額を予算化したうえで予算内で収まる時間配分を検討すれば問題ありません。定性的効果を無理して金額表現にしないほうが理解は得やすいと思います。

また、これらの計画で複数の改善が並行して行われている場合は優先順位や関係性を十分に考慮して、時間軸に配慮する必要があります。高いスキルの必要な作業をするのに、教育が後回しでは意味がありません。ITツール導入による業務改善なのにITツール導入時期が遅ければ意味がありません。

この辺りは以前お話ししたバランススコアカードの戦略マップ等を活用し、各施策の関係性を全体的に明確にしてから取り組むと時系列がおかしい計画を避けることができます。

最後に計画を立てたら、必ずその中にマイルストーンと呼ばれるチェックポイント、いわゆる振り返り日を設置するようにしてください。特に継続的長期的に改善活動を行うものであれば、マイルストーンの日に振り返りを実施し、遅れている場合は目標修正か改善方法・体制の見直しを行い、進んでいる場合は目標修正か他の改善活動へ人的資源を振り分けなおすなどの対策を立てる仕組みが不可欠です。

戦略的視点でいうと長期から週単位の計画といった形で長いものから短いものを計画する帰納法的手法が一般的なのですが、計画策定や振り返り等が未経験もしくは十分な経験がないときは逆に週単位の計画を立案して、月、年、複数年と積み重ねる演繹法的な手法のほうが無理のない計画を立案できます。自社の計画能力や実行に対する成熟度に応じて、使い分けるようにしてください。

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