経営改善と業務改善(その26)

今回も経営改善と業務改善についてお話します。

前回はアジャイル型改善のお話をしました。今回は改善に絡めて、コミュニケーションについて、少し脱線した話をしたいと思います。

コミュニケーション不足

自分が体験したこともありますし、いろいろな書籍や新聞・雑誌、ネットニュースでも話が出ますが、改善をするうえで、一番不足がちになると感じるのがコミュニケーションです。つまり、意志、意見、知識、想いの伝達がうまくいっていない、もしくは誤解されているといった場合に改善が失敗しているように感じます。

コミュニケーションは、情報の伝達の意味だけではなく、意思の疎通、心の通い合い、相互理解ということも含まれており、改善に必要なコミュニケーションは後者も含まれていると思います。

コミュニケーション管理では少し管理面を中心にお話をしました。この管理はそもそも、社内でコミュニケーションがある程度できていることが前提ですが、経営改善・業務改善を行う前にコミュニケーションそのものに改善が必要な場合が少なくないです。

会話・対話・談話・懇話・閑話、相談・面談・雑談・歓談・懇談・閑談

ここで、少し言葉遊びをします。コミュニケーションは意思疎通なので、そのための伝達手段が必要になります。メールや手紙といった書くことによる方法もありますが、多くは、口頭+表情、しぐさといった視覚を利用した非言語方法を使って行います。

では、この口頭での方法を言葉に置き換えるとどうなるでしょう。少し調べるだけで、会話・対話・談話・懇話・閑話といった話がつく言葉、相談・面談・雑談・歓談・懇談・閑談といった談がつく言葉が出てきます。つまり、伝え方にも多くの種類があるということです。

少し辞書的に説明すると会話は二人以上の人が集まって互いに話をかわすこと、対話は直接に向かい合って互いに話をすることですが、多くは1対1の二人を指します。談話は、あることについて、形式ばらずに話す、懇話は打ち解けて親しく話す、閑話は無駄な話をすることです。よく使う閑話休題とは無駄話をやめて本題に戻すことです。

相談は問題の解決のために話し合うこと、面談は面会して話すことですが、少し形式的にあることについて話すことを指すことが多いです。雑談はとりとめのない話をする、歓談と懇談は打ち解けて親しく話す、閑談は、のんびりと静かに話をすることといった感じです。

ここで大事なことは、みんなで会話をしているつもりが特定の人との対話になって、ほかの人は蚊帳の外だったり、相談しているつもりが、雑談としてしか受け取ってもらえてない、歓談のつもりで上司が声をかけているのに、面談に臨むかのような態度で部下が接しているといった話し手と聞き手の意識のギャップがあるとコミュニケーションはうまくいかないということです。

価値観の共有

なぜ、こうなるかは、価値観の共有ができていないからだと考えます。ちょっと難しい説明をすると自己認識(自分が知っている自分のこと)と他者認識(他人が知っている自分のこと)が一致する状態が自己理解(自己認識と他社認識が一致している自分のこと)が不足しているからです。

例でいうと、自己認識で私はよく笑う、他者認識で彼はおしゃべりでは一致しませんが、自己認識で私は計算が早い、他者認識で彼は計算が早いと一致すると自己理解ができているといいます。自己理解は個人の考え方(いわゆる価値観)にも適用できます。話すときに価値観を共有している方が人間関係が良好なのはいうまでもないでしょう。わざわざ、聞き手が好ましいと思わないことを好ましいように話し手が伝えてもダメなのは当たり前のことですが、それを意識しないまま話していることが多いのです。

価値観を共有するためには、自分をよく知ってもらい、相手をよく知ることです。対話形式で、歓談できるような状態にもっていく必要があります。特に自分をよく知ってもらうことを優先しないと相手はこちらに心を開いてくれません。自分のことを話さずに相手のことを聞きたがるのはダメです。もちろん、自分のことを一方的に話して、相手の話を聞かないのもダメです。

つまり、コミュニケーションをうまくいかせるためには時間をかけて少しずつ、世間話や仕事の話、個人(趣味とか)の話などいろいろな分野の話をして、価値観を広く深く共有する時間ときっかけを多く作る必要があるということです。

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