経営改善と業務改善(その22)

今回も経営改善と業務改善についてお話します。

前回は管理6要素(品質、要員、コミュニケーション、リスク、調達、関係者)のうち、品質管理についてお話ししました。今回は調達管理についてお話します。

調達は通常、モノの調達が主体となりますが、以前もお話ししたように、最近は外部サービスの調達も多くなってきています。プロジェクト期間中に支援をお願いするコンサルタントや専門家のサポート依頼、改善期間中の一時的な増員のためのアルバイトの依頼といったヒトの場合もあれば、クラウドサービスなどによる業務改善の一部を外部委託するコトの場合もあります。範囲と責任が従来より、ぐっと広がっているのがこの調達管理です。

特にクラウドサービスに関しては、試行をすることが可能な場合もあるので、改善プロジェクト期間中にお試しをして、その後、正式採用するかどうかを検討したいといった場合に、2段階の契約条件に関する情報収集や契約そのものもこの調達管理に入ってきます。

なお、調達したモノそのものはもちろん、クラウドサービスを含む外部サービスに関する品質は品質管理側で行います。また、専門家がプロジェクトに参加する場合は要員管理にも影響してきます。このようなところは連携することであることを意識してください。

調達管理の最初は調達計画です。どのような資源(モノ、ヒト、、コト)を調達するかを検討し、調達方法や管理方法を決めた計画を策定します。特に利用したいタイミングで準備ができていないと改善プロジェクトの進捗に影響を与えることになるので、調達に必要な期間、いわゆる発注から納品までのリードタイムの把握が重要になります。

最近だと半導体不足で、パソコンやスマホ等のIT機器の調達が著しく悪い状態で、半年待ちといったこともあります。この場合は価格が少し高くても、家電量販店やネットショップで調達するといったことも視野に入れる必要があり、代替調達先のリストアップというのもポイントです。

ヒトの調達も、人材不足ですぐに来るとは限らないので、派遣社員を視野に入れ、派遣会社への連絡先を確認する。外部サービスのお試し期間や契約後の解約時期といった調達コストをできるだけ少なくするための情報収集がこの計画時期に必要になります。見積基準といったものもあるといいと思います。

モノの調達は建設業であれば、割と得意分野だとは思いますが、IT機器や外部サービスなどは、初めての場合もあるので事前準備をしっかり行いましょう。

次は調達の実行です。調達時期によっては、新製品や新サービスのタイミングにあたる場合もあります。値段を下げて旧製品を調達するのか、少し待って将来的に長く使える新製品を調達するのかを判断するケースも出てきます。ヒトの調達の場合は能力や契約等の内容がプロジェクトに必要な内容と合致しているかを確認することも大切です。

次は調達のコントロール、つまり、調達したものの管理です。モノであれば、故障や破損といったトラブルもありますし、ヒトの場合は他のメンバー、関係者とのコミュニケーション問題といったこともあります。調達したものが適切にプロジェクトに貢献できているかを定期的に確認することもこのコントロールに含まれます。

最後は調達の終結、調達結果のまとめと評価です。業務改善のように範囲が狭い場合は影響も少ないですが、経営改善のためだと調達による影響範囲が大きく、改善結果を左右することも少なくはありません。

失敗要因も成功要因もきちんと把握し、フォローやリカバリーをするとともに、次回に活かせるような形で資料を作っておくことも重要です。

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