経営改善と業務改善(その9)

今回も経営改善と業務改善についてお話します。

前回は操作教育の留意点とWeb会議ツールを使った遠隔地への指導方法をお話でした。今回は集めた情報をどうするかといった情報の展開のお話です。

本来当たり前のことですが情報システムに入力するのは何か目的があって、入力します。そして、その目的は同じ作業でも異なることがあります。日報入力時に作業時間を入れたとして、目的は原価管理の基礎とする場合もあれば、単に請求先への常傭金額の確定のためもあれば、作業内容と時間から、個々の社員の負担感の平準化を図るためもあります。

もちろん、3つとも目的にするのはダメではありませんが、求められる精度や記載する詳細さが変わります。また、入力者がそれを理解せずに入力すると本来求めたい内容がないために精度の低い、もしくは内容のないただのデータを集めることになります。

データに意味を持たせるのが情報ですが、この理解が収集する側にないために、「とりあえず、集めよう」という本末転倒な指示が出るのです。

このような悲劇を回避するためにはなぜ、このような情報を収集するのかという目的を文章で明示して、入力者に理解してもらうことが不可欠です。目的を明確にすることで、「あれ、ここまでの精度はいらないなぁ」、「あっ、こういう項目を選択式で入れておけばいいのでは」といった収集内容や手段の見直しができることもあります。(本来は目的があっての情報収集が、収集ありきで始めると見直すことが多いです・・・。)

また、より理解を深めてもらう手段として、情報の公開が必要です。といっても、生データをそのまま表示するのでは意味がありません。本来の目的に沿った形でデータを加工し、意味を持たせて情報にしたうえで、公開する必要があります。

例えば、時間入力が原価管理であれば、標準時間との差異を明示して、業務改善や自分のレベルアップに使えるような比較表をまとめます。入力が負担感の平準化であれば、自身の情報だけでなく、1年前との比較で関係社員のバラツキが収まってきたのを標準偏差やグラフによって明示することも大切です。当然、個人情報に配慮する形で明示してください。

単に明示するだけでなく、解説や今後の展開もコメントとして記載するか、定期的な面談等を通して、図表を見ながら説明することも重要です。収集目的が分かっている人は集め方も決めていますから言葉の意味も問題ないと思いますが、漠然と入力している側には意味を考えていない人も少なくなりません。目的や経緯、結果への評価といった内容を最初のうちは丁寧に説明することをお勧めしています。(慣れてくれば、結果評価と今後の進め方だけでOK)

「とはいっても、まとめるのが大変だよね」「データが追加されるたびに更新するのが一苦労で」ということも多いです。そこで登場するのがBI(ビジネスインテリジェンス)というものです。

有料・無料、様々なソフト・サービスがありますが、まずはお試ししてほしいのがマイクロソフトのPower BIです。入門書も出ており、個人でなら無料で利用することができます。インターフェイス要は見た目もエクセル含むオフィスに似ているので、比較的ITが得意でない方も違和感は少ないと思います。この辺りは以前メルマガでも紹介しましたね。

もちろん、BIとしての基礎知識や技術がないと最初の資料作成が難しいのですが、この訓練でお勧めなのがエクセルのPowerQueryとPowerPivot機能です。これPowerBIとほぼ同等の仕組みなので、こちらで修業を積んでもいいです。

ただし、エクセルで2次元的な集計等をやったことがない人はその前に普通のピボットテーブルで集計やグラフを勉強しましょう。こちらも入門書があります。テーブルの勉強もお勧めです。

まずは、少し苦労して、ピボットテーブルで集計した結果を表示し、少し高度なことがしたければ、PowerQuery等を利用する。ある程度表現方法が落ち着いたら、いよいよPowerBIといった感じです。

大切なのは、情報のテイクアンドギブです。もらったものは相手に納得いく形で返しましょう。情報は双方向が成功のカギです。

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