経営改善と業務改善(その10)

今回も経営改善と業務改善についてお話します。

前回は集めた情報の展開として、収集時の目的の明示や情報公開、そのためのBIを使う話をしました。BIについては、ちょっと説明不足でわからづらかったと思うので、いずれ別の機会に詳細を説明します。

今回は期限の話しです。経営改善や業務改善はプロジェクトです。プロジェクトという意味は「何かを創造するために実施する有期の活動」を指します。つまり、目標があるだけでなく、開始と終了の期限があるということです。

「3年以内に○○を達成する」「今年1年間で△△の活動を行う」というのが基本的な改善の言葉です。つまり、所定の目標をいつまでに達成するというのがセットにする必要があります。

しかし、方針や概要レベルではこの話があっても、詳細化していくにつれて、だんだん期限のことが見えなくなり、改善指標と改善内容にこだわるようになってきます。しまいには改善指標だけに目がいくようになり、手段を計測する指標が目標に置き換わるという悲しい話になり、指標を達成するために改善でもないムダな活動をするというようなことが現実としてあります。

このような状況にならないためにも経営改善や業務改善はプロジェクトとしてとらえて、プロジェクトの基本3要素(目標、納期、原価)と管理6要素(品質、要員、コミュニケーション、リスク、調達、関係者)と全体をみる統合管理の10要素でしっかり押さえることが理想です。

とはいえ、人員の少ない中小企業や不慣れな企業でいきない10要素と言われても難しいのはいうまでもありません。なので、基本要素である「目標(スコープ)」「納期(タイム)」「原価(コスト)」の3つだけをまずはしっかり管理しましょう。

目標(スコープ)については前回までにKGI・KPI等の管理手法も含めて、お話ししました。少し脱線すると前回までの説明は目標達成単独での話なので、コストやタイムを意識すると「目標達成を諦めるもしくは見直す」といった変更管理も必要になってきます。この辺りは、3基本要素の個別管理を説明し後でお話しようと思っています。

さて、納期(タイム)ですが、記載している日本語の意味をとらえて、ついつい期限のこと、言い換えると活動の終わりばかりを気にしがちです。しかし、プロジェクトである以上始まりがあり、さらに途中の頻度もおさえていく必要があります。

具体的にいうと、年度計画(3月を年度末とする)といった場合、3月末の終わり決めておきながら、開始時期が計画策定の遅れで、6月や7月になるをよく見かけます。(公共工事はまさにこれ)

しかし、年度というのであれば、4月に開始できるように計画策定時期を前年度にするのか、計画策定時期を踏まえて、6月開始、5月終了にするのかを決めておくことが大切です。ここをないがしろにして12カ月かかる内容を10ヶ月とか9ヶ月でやろうとするために無理が生じるのです。始まりを意識していないとこういうことが定着してしまいます。

また、経営改善も業務改善も通常業務の合間にやるのが一般的です。日単位もしくは週単位で一定の時間を改善活動に割り当てることが理想ですが、残念ながら、担当者に「よろしく」で終わっている企業が少なくありません。

タイムを意識するということはその期間中に改善に使える時間もある程度予測しておくことが大切です。同じ週に2時間半でも、1週間のどこかで集中的に2時間半なのか、1日の隙間時間を寄せて30分なのかで、改善の方法やできる内容も変わるはずです。活動時間の単位も考慮することが成功へのカギです。

つまり、「納期(タイム)」を管理するということは終わりだけでなく、始まりとその中の活動時間の3つをきちんと計画して、管理するということなのです。

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