経営改善と業務改善(その21)

今回も経営改善と業務改善についてお話します。

前回は管理6要素(品質、要員、コミュニケーション、リスク、調達、関係者)のうち、コミュニケーション管理についてお話ししました。今回は品質管理についてお話します。

品質とは

品質といわれても「業務改善の品質って何だろう?」「コンクリートの出来栄えならわかるけど」といった感じではないでしょうか。

一般的に品質とは「対象に本来備わっている特性の集まりが、要求事項を満たす程度」のことです。経営改善・業務改善の品質とは改善結果を数値的に表し、客観性を持たせることで要求事項の満足度を表すことがメインとなります。

漠然とした「がんばった」とか「よくなった」では、品質の良し悪しが言えないのはいうまでもありません。何パーセントの時間短縮、○○円のコストダウン、事故率や故障率の何割低減といった形で誰もが理解しやすい形で表現することで、品質を表せるということです。

もちろん、成果だけでなく、各種報告書の出来栄え(信頼性や保守性、使用性)や業務手順そのものの機能性や効率性といったものも品質として捉えてください。

要は気持ちよく改善して、改善が関係者の満足いくような結果になり、そのまとめが次に活かせるようなものにするために必要な基準といったものを品質とします。

そのために、どのような約束事(品質基準)を決めて、どのように管理するか(管理方針)を策定し、計画を立て、実行するということが品質管理となります。

品質方針、品質計画

まずは方針・計画です。品質レベルをあげると当然、いいものはできますが、負担も大きいです。ゴールとしての改善結果(要求事項)が満足できるものを目指すために、必要なレベル感を設定する必要があります。もちろん、要求事項そのものがフワフワしたものでは品質を定義しづらいので、できるだけ数値目標を考えます。この中で必要に応じて、ルール作りである基準を策定します。

前述したように、報告書等の成果物は再利用もしくは参考できるようにするために見やすさ、使いやすさも意識する必要があります。具体的に言うとメモ書きで、ファイル名もバラバラではなく、命名規則があり、適切なフォルダに保存されており、どれが新しいか古いかも一目でわかるようにすることが大切です。このような基準作りも一種の品質基準なのです。

また、品質計画はプロジェクトそのものの計画ではないですが、手順や成果物の出来栄えに影響するため、密接に関係してきます。もちろん、メインは改善に対する品質です。応急処置的な改善結果ではなく、永続的で負担感が少ない、できれば発展性のある改善結果にするために、必要な内容はどのようなものなのかを考えていきます。その内容をチェックするタイミングや是正タイミングを決めていくことも計画に含まれています。

品質管理

次は品質管理です。このあたりは「業務改善のみせ方」で紹介したQC7つ道具や新QC7つ道具を活用するとわかりやすいまとめ方ができ、効率よい管理ができると思います。プロジェクトの内容によっては品質保証も必要になってきますが、今回は経営改善や業務改善というモノというよりコトの品質なので、割愛します。

品質管理を行い、必要に応じて、計画の見直しや人員の補充といった目標達成するための支援や品質向上のための仕組みの見直しを行っていきます。基準は最初で作ったら終わりではなく、よりよくするためにPDCAを回すのが基本です。

もちろん、計測するための仕組みも必要です。できれば、昨今であれば、IoTやモバイルの活用で容易にできるようにすることも品質管理の一部だととらえていいと思います。業務改善の品質管理は、日ごろの品質管理の仕組みも使えるので、新しく作らずに既存の仕組みを上手に使ってください。

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