経営改善と業務改善(その20)

今回も経営改善と業務改善についてお話します。

前回は管理6要素(品質、要員、コミュニケーション、リスク、調達、関係者)のうち、関係者管理についてお話ししました。今日は前々回の要員・前回の関係者をつなぐコミュニケーションについてお話します。

コミュニケーション管理

コミュニケーション管理は以前もお話ししたようにメンバーだけでなく、影響がある関係者も含む全体で、必要な情報の収集、展開、共有を実施するための仕組みを考えて、実施することです。もちろん、すべても情報共有するのではなく、必要な情報を必要なタイミングで収集、展開することがポイントになります。

この情報収集・展開内容の取捨選択や対象者による情報共有の量や内容の差、発信時期を含めた仕組みづくりがコミュニケーション管理のカギとなります。また、プロジェクトに関する情報自体の保管・検索・廃棄など情報管理も含まれます。

コミュニケーション計画

まずはカギとなるコミュニケーション計画から始めます。計画といっても、プロジェクト(今回は経営改善・業務改善)に関する情報をどのように集めて、どのように展開するか、その際の責任範囲や発信の緊急度の設定、会議体や報告会の設置、コミュニケーションツールの選定とそのツールの利用ルールと多岐にわたります。

特にIT利活用が有効な管理要素なので、プロジェクト関係者のITリテラシー(読み書き能力)によって、収集展開速度も変わってきます。関係者全員がLINE WORKSのようなツールを使えるのであれば、情報共有は容易になるかもしれませんが、使える人と使えない人がいるならば、ホワイトボードや掲示板、朝礼といったアナログなツールを使うことも視野に入れる必要があります。

最近は大型ディスプレイも安価になったために、ホワイトボードがわりに大型ディスプレイを利用しているところも増えてきました。専用の掲示ページを作ってもいいですが、Googleスプレッドシートのような複数人が更新しやすい画面を常時掲示するのも手です。

会議体で重要なのは、議事録を残すこと。そのために必ず書記を決めておくことがポイントです。盛り上がったけど、何が決まって、何が決まっていないかが不明なままにすると、同じことを何回も話しているという無駄が生じます。また、報告会はアナログでやる必要がない場合は原則なしにして、議事録配布やまとめた資料を見れる環境(具体的にはオンラインストレージや共有サーバー)を整備しましょう。会議体も多目的にすると参加者が増える一方なので、できるだけ目的を絞ってメンバーを限定したほうが効果が高いです。

配信内容は、メンバーと関係者で差をつけるのはもちろんですが、全部が決まってから関係者に知らせるのではなく、途中経過を簡単に知らせることも大切です。具体的な内容はなくても方向性や方針のようなものがわかるだけでも関係者は動きやすいです。

コミュニケーションのPDCA

計画が決まれば、実際に情報収集・展開をしていきます。コミュニケーションは、やってみてわかることも少なくないため、必要に応じて計画内容を変更する変更管理が重要になります。ITツールオンリーだと考えていたが、やはり、掲示板も利用しようとか、会議体を2つに分けるとか、関係者への情報共有頻度をもう少し上げるといったことも、よりよいコミュニケーション品質のために変えていきます。ただし、必ずメンバー含む関係者に変更した内容と理由を明示してください。また、できれば、変更時期は月初めといったわかりやすい区切りで始めることも明示するようにしましょう。

日本人はノンバーバルコミュニケーション(非言語的意思疎通)が好きです。口頭で伝えるのはもちろん、顔の表情、顔色、身振り、手振り、体の姿勢といった行動を利用して、相手に情報を伝達します。ちゃんと伝わればいいのですが、今は多様な意識を持った人が増えているので、誤解されることも少なくありません。会議中に利用するのは全く問題ないのですが、決まったことは必ず文章化して、記録に残すようにしてください。

コミュニケーションの監視

最後にコミュニケーションの監視です。上記のように口頭伝達で正しい情報共有ができているかどうかや発信側受信側の満足度といった形で調査を行い、プロジェクト管理の上位層に伝達し、改善を促します。こちらも記録を残しておくと次回プロジェクトに活かせるのはいうまでもありませんね。

プロジェクトの情報管理も重要です。こちらも次回に活かせることが多いので、再利用することを前提に記録を残しましょう。特に議事録は後から見ると何を言っているのかわからないような文面があるのを見かけます。数カ月後に誰が見てもわかるように、議題や背景、決定事項、検討事項、保留事項がわかるような書式をあらかじめ作っておくことをお勧めします。

コミュニケーションはプロジェクトを円滑に進めるためのカギですが、意外とルールがないまま、進めていることが多いです。プロジェクト開始前にしっかりとした計画を立ててください。

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