今回も経営改善と業務改善についてお話します。
前回まではプロジェクトの基本3要素(目標、納期、原価)の補完となると管理6要素(品質、要員、コミュニケーション、リスク、調達、関係者)についてお話ししました。
PMBOK 第7版
今回はプロジェクト管理の最新情報として、PMBOKの第7版についてお話しします。第7版は2021年に出ました。第6版が2017年なので4年ぶりの改定ですが、内容は大きく変わっています。
まずは、PMBOKガイド自体が776ページから368ページとなり、A4からB5と実質3分の1程度になりました。説明サイトによってはハウツー本からバイブルになったと書かれています。
内容も今まで紹介した基本3要素+管理6要素+統合管理の10の知識エリアと立上げ・計画・実行・監視・終結の5つのプロセスが12の原理・原則8つの行動領域に変わりました。
12の原理・原則
この原理・原則という書き方は、アジャイル開発の4つの価値と12の原則の流れに似ており、影響を受けていると感じます。つまり、今までのように、手順や成果物に主体を置くのではなく、考え方に主体を置くような内容になっています。12の原理・原則は
1.スチュワードシップ、2.チーム、3.ステークホルダー、4.価値
5.システム思考、6.リーダーシップ、7.テーラリング、8.品質
9.複雑さ、10.リスク、11.適応性と回復力、12.チェンジ
となっていますが、英語のいくつかがピンと来ないと思うので、少し解説します。スチュワードシップは日本語で受託責任とあり、請け負ったものへの責任といった感じだと思います。ステークホルダーは利害関係者ですね。テーラリングが洋服の仕立て直しの意味ですが、状況に応じた対応を意味しています。
チェンジがわざわざ1原則になるように、プロジェクト進行の中で変化は当たり前で、複雑さに対応できるよう適応性や回復力を高めて、対話や協調を進め、変化に柔軟に適応することが求められているということです。
8つの行動領域(パフォーマンスエリア)
もう一つの8つの行動領域(パフォーマンスエリア)は
1.ステークホルダー、2.チーム、
3.開発アプローチとライフサイクル、4.計画
5.プロジェクト作業、6.デリバリー、7.測定、8.不確かさ
になりました。ライフサイクルやデリバリーといった内容は、アジャイル開発でおなじみのものです。ここでもプロジェクトから生み出される成果・目標の終わりを意識する点や途中での状況配信は、不確実さが増えてきている今の世の中に即したものです。
また、開発アプローチや測定など、世の中にある様々な手法を必要に応じて取込、それに応じた進捗把握をする仕組みを考えていくことで従来のように一本調子で進めていくのではない、臨機応変な行動が求められているのだと思います。
内容的に解説が難しく、ピンときづらいものなので、前回までは第6版をベースにお話をしてきました。とはいえ、管理手法の知識体系が大きく変わる必要があるほど、世の中が変わってきていると感じていただけると幸いです。