経営改善と業務改善(その17)

今回も経営改善と業務改善についてお話します。

前回は改善に対する評価として、人事評価のお話をしました。できれば、業績評価、能力評価、情意評価の3つで評価を行い、賃金体系や一時金、金一封といった形で社員にも改善効果の還元をすることをお話しました。

今回はまた、改善管理に戻ります。以前、経営改善や業務改善は、期限と成果目標をもとに計画を策定・実行するプロジェクトとしてとらえて、プロジェクトの基本3要素(目標、納期、原価)と管理6要素(品質、要員、コミュニケーション、リスク、調達、関係者)と全体をみる統合管理の10要素で押さえるとの話をしました。基本3要素は説明が終わったので、今回から管理6要素についてお話しします。

少し脱線すると、この10要素はPMBOKというプロジェクトマネジメントに関する知識・手法を体系立ててまとめたものに書かれている知識エリアを利用したものです。なお、要員管理は2017年の第6版で資源管理に変わりました、また、2021年の第7版からはこの知識エリアそのものがなくなり、8つのパフォーマンスドメインというものに変わりました。ウォーターフォール型だけでなく、アジャイル型を取り込んだ形になったようです。今回は第5版までの知識エリアに準拠した形で説明しますが、補足説明で第6版を取り込み、最後に第7版の話もしようと思います。

まずは、管理6要素の概要と関係についてお話しします。人に関する管理要素が要員、関係者、コミュニケーションです。

要員管理はどのような人を集めて、どのような担当に割り当てて、どのようなチームを構成するかを計画し、各メンバーの能力を活かすために教育やフォローを実施します。もちろん、リーダー育成も管理の一つです。関係者はメンバーではないが、経営改善、業務改善に影響を与えるもしくは与えられる人たちのことです。ステークホルダー(利害関係者)と呼びます。どのような関係者がいるかを洗い出し、関与の仕方を決めて、接し方を管理します。業務改善の場合は改善対象の業務を行う社員が中心ですが、経営改善の場合は、発注者だったり、協力業者のような外部の方も含まれる点も留意してください。

コミュニケーションは要因に含まれているメンバーと関係者に含まれているメンバー外関係者全体で、必要な情報の収集、展開、共有を実施するための仕組みを考えて、実施します。メンバー内だけで行う情報共有、メンバー外に対する情報共有は量や内容に差が必要になります。このルール作りも含まれます。また、プロジェクトに関する情報自体の保管・検索・廃棄などもこの管理です。

ものに関する管理要素が品質と調達です。品質は成果物や各種報告書等の出来栄えを管理します。求められた目標に対しての差はもちろん、見やすさや使いやすさ等も品質としてとらえて管理を進めます。そのためのポイントとして、どの程度の品質にするかの基準作成と要求事項の内容が大切になります。報告書はものというよりは情報の品質となります。調達はものの調達が主体となりますが、最近だと外部サービスも範囲に入ります。その点ではこのサービスの品質も品質管理になります。どのようなものをどこから調達してくるか、外部と契約関係も含めて、無理無駄のない調達を行うための仕組みづくりと管理を行います。

最後にリスクです。リスクは目標、納期、原価の基本3要素はもちろん、人、もの、情報すべてに関する不確定な要素をリスクと考えて、リスクの洗い出しと影響度や確率の推定と起きないようにする対策(事前)と起きた時の対策(事後)の計画と管理を行っていきます。業務改善ではリスクの範囲は社内が中心ですが、経営改善では社会情勢も含む外部も含まれるので、洗い出しは大変ですが、重要なことなので、忘れないでください。

対策については、リスクそのものを避ける回避、起きても被害を最小限にする低減、保険や外部組織に頼る移転、被害が小さいとか確率が小さいとかの理由で費用対効果がなさそうなリスクは起きても受け入れる受容という4つを選択する必要があります。そのための基準作りがポイントになります。

要員、関係者で人の管理を行い、コミュニケーションで情報の管理、調達でもの・サービスの管理、品質では情報、もの・サービスのレベル管理、リスクですべての不確定要素の管理を行うといった関係になります。

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