テレビ電話による会議

 大きい企業を中心にテレビ電話による会議は一般化してきました。光回線やADSL等の高速インターネット回線の普及によるインフラができていること、パソコンの性能向上、ノートパソコン等でのWebカメラ内蔵などのハード面での環境整備、Skypeをはじめとする無料ソフトウェアの提供と初心者でもすぐに始めることができる環境が整っています。

 しかし、いざとなるとなかなかできていないのが実情です。「興味があるのだけど何をやったらいいのかわからない」「専用システムは画面がきれいだけど値段も高いし」「いろいろあるようだけどどれを使ったいいかわからない」という声をききます。今回は私の経験や実際に導入した企業事例からテレビ電話による会議についていくつかお話しします。

 ここで紹介するテレビ電話による会議は安価なシステムで構築できるものを前提としています。手法自体は次回以降で紹介しますが、高価な専用システムではなく、比較的気軽に中小企業でも始められるものとします。正確にはインターネット電話によるビデオチャットといったほうがいいのかもしれませんが、ここでは便宜上テレビ電話と表現しています。

1.テレビ電話に向く会議・向かない会議

 まずは、どんな会議でもテレビ電話でできるわけではないということを覚えておいてください。つい、テレビ会議ができると「これで出張費は0円」だと思われる方もいるかもしれませんが、どんなITも向き不向きがあります。最初にきちんと理解していないとテレビ電話に間違った期待をして失望することになります。

 テレビ会議が向く会議とは少人数か報告中心、もしくは配布資料が少なくてフリーディスカッションするような会議です。逆に大人数や資料が多くて、資料に基づいて討議し、決議を取る会議はあまり向きません。それぞれ理由を説明します。

(1) 人数

 特に大人数のものは性能がよくなったとはいえ、Webカメラで参加者の表情は読み取りにくいですし、声も入りにくいです。会議というのは意外と人の表情を見ることが重要だとテレビ会議をして感じたことがあります。そのため、表情が見えない人数での会議はさけたほうが望ましいです。

 人数の目安としては1拠点、6人程度だと思います。これならば長机2つをはさんで3人ずつで座れば、表情もしっかり見えますし声もきちんと拾えると思います。

 ただし、幹部が部下に方針や計画を説明するような1対多の場合は部下側の表情はあまり重要でありませんし、幹部側の顔が鮮明に映れば問題はないので、部下側の人数がもっと多くても構いません。

(2) 資料の量と内容

 配布した資料を次々と読んでいく報告会のようなものであれば、発表者に一時的にカメラを向ければよいので資料の量は重要ではありません。しかし、読み込んだ資料をもとに参加者が発言する会議は発言者だけでなく聞く側の表情も重要になります。この場合、数ページ程度の資料で打ち合わせれるレベルのものが望ましいです。

 また、読み合わせをするような資料は声が聞き取りにくかったりすると参加者の負荷が大きいのでやめたほうがいいです。あくまでテレビ電話による会議は顔を見て会話するのが主体なので資料はできるだけ少なめで話の補足に使うようなものにしましょう。

(3) 拠点数

 専用システムを使えば、問題ありませんが、安価なシステムの場合、拠点数はできるだけ少なくすることが望ましいです。理由のひとつはみんなが見る画面が小さい場合(パソコンモニタや小さなテレビ等)だと分割した画面が小さくなってわかりにくくなるのとスピーカーの性能で声が聞き取りにくくなることが多いからです。もうひとつは専用システムでないと複数拠点の画面描画にそれなりの性能を必要とするため、一般的な市販パソコンでは描画が遅れてコマ送りのようになるからです。

 理想を言えば、2か所に絞り込めるようにしたいです。複数拠点の場合は代表拠点を2か所にして、メンバーにどちらかの拠点に集まってもらうようにしましょう。

 もし、拠点を絞り込むことが難しい場合は主催者側が複数回同じ会議を行うことで参加者側が順番に異なる拠点で参加できるという方法もあります。本社と現場や本部と店舗といった環境で報告会を行うパターンの場合はこのような方法を取れば、参加者の負荷は軽減されます。主催者側の負荷は増えますが、各拠点に訪問することを考えれば、ずっとましだと思います。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする