テレビ電話による会議(その5)

 前回まででテレビ電話による会議を行うために必要なソフトやハード、注意点についてお話をしてきました。今回は実体験も踏まえ具体的な利用例についてお話しします。

4.具体的な利用例

(1) 支店間、営業所間での定例報告会

 報告が主体で、意見を交わすことがあまりない会議、具体的に言うと毎月の営業実績、工事進捗等を発表する場です。文章では書きにくい内容を口頭で伝え、その内容への質疑応答をするような会議では、わざわざ集まらなくても問題ありません。状況によっては音声だけでも十分なことがあります。

 集まるための交通費や往復時間に割かれる人件費のことを考えると費用対効果は非常に高いです。実際に支援した案件では製造業でしたが、1回の会議で投資費用を回収することできました。

 また、テレビ会議の場合は前回の注意点でお話ししたように会議自体をコンパクトにまとめられるよう事前準備をしっかり行うことになりますので、会議自体がすっきりすることも少なくないようです。効果を期待したい場合は一番選びたい利用例です。

(2) 現場責任者対象の連絡会議

 中規模以上の建設会社で現場責任者を集めて、月に1回程度、定期的な会議が行われることがあります。その場合に俗に一人現場と呼ばれる小規模で元請けが一人しかいないような現場は出席するのが非常に困難です。特に集まる場所から遠方の現場では出席のために半日近く現場を止めなくてはいけないこともあります。そのため重要な会議でも現場進捗のために参加をあきらめてしまうという場合も少なくありません。せっかくの会議がもったいないです。

 このような場合は近くの拠点現場に周辺現場の責任者を集めて、サテライト会場としてメイン会場とつないだり、どうしても移動ができない責任者は現場詰所(無理な場合は通勤車内)から参画できるような環境を整えることで出席することができます。

 現場で行う場合は最近急速に普及している高速なモバイル回線を活用します。設置準備はモバイルルーターとパソコン(もしくはタブレット)とSkype のようなソフトだけでOKです。実際に行ってもらった際は通信状況によっては音声のみのときもありましたが、概ね支障なくできました。往復で3時間程度の時間が節約できたのはコストだけでなく、肉体的にも精神的にも負担軽減になったようです。月額4千円かかりますが、メールやWebもできますし、電話ソフトを活用すれば、通話料無料で業務用の携帯電話も不要になります。一人現場が多く出席率が低くなりがちな会議はぜひ検討をしてください。責任者の負担も減りますし、現場の進捗にも貢献できます。

 ただし、Skype で複数の拠点から同時に接続するのは有料ですし、環境もそれなりに要求されますので、サテライト拠点の検討やメイン会場側に複数台のパソコンを用意して、1対1の環境にするなど創意工夫によってコストダウンを図りましょう。また、高速回線が現場近くではだめでも少し街中や主要幹線に出れば通信可能になることがあります。通信エリアを確認してできるだけ負担少なくできる場所を探しましょう。

(3) 技術相談などスタッフ部門と現場の打合せ

 本来は現場に来てもらい、現地を確認しながら打合せできるのが理想ですが、いつでも対応できるとは限りません。そのような際に現場事務所に無線LAN環境を備えたうえで、現場にパソコンを持ち込み見てもらうという方法をとります。高速モバイル回線が使えればそちらを利用してもいいです。訪問してもらうよりは情報は減るかもしれませんが、鉄筋同士の干渉や建具の収まり具合など特定の部位を見てもらう場合には指示に従って閲覧な箇所を動かすことで三次元的にとらえてもらうこともできます。

 建設業だけではなく、小規模店舗と本社とのやりとりにも有効です。販促売場のPOPの確認や商品配置、動線の確認など本社のベテランがアドバイスしやすい情報を提供することができます。

 いずれにしても、ちょっとした場面で役立てることができると思います。敷居も高くありません。ぜひお試しください。

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