建設系資格について(その6)

今回も建設系資格について紹介します。

前回までに技術士、施工管理技士、特別教育・技能講習等で取得できる作業主任者や各種運転資格のお話をしましたが、まだまだ、建設系は国家資格があります。

今回お話しするのは、一級建築士、二級建築士、木造建築士、建築設備士という建築士法に基づく国家資格です。

建築物の設計及び工事監理を行える資格です。建築物といってもピンと来ないかもしれませんが、要は一般的に人が利用したり、生活したりする建物です。建築基準法的には屋根・柱・壁がある工作物で、付属する門や塀も含まれます。

似たような言葉に建造物というのがありますが、こちらはとトンネルや橋などの土木構造物も含まれているようです。とはいっても人によって解釈が異なるらしいですが・・・

上記の4つの資格のうち、3つの建築士は設計・工事監理のできる建築物に違いがあります。木造建築士は、木造2階建てで延べ面積が300m2以内のものができます。二級建築士は木造なら階制限なしで、1000m2以内(ただし、学校や病院のような不特定多数の人が出入りする建築物は500m2以内。なお、平屋なら、延べ面積制限なし)、コンクリートなどのその他の構造なら300m2以内ができます。一級建築士は建築物はすべてOKです。ちなみに木造で100m2以内なら資格は不要です。庭に作る小さな小屋は自分で設計してもOKということですね。(普通は壊れないか心配なので、あまりやりませんが・・)

一級建築士は工事監理もできるので、以前お話しした監理技術者の資格要件もクリアします。建築一式工事や大工工事のような建築系の工事の監理技術者になることができます。

さて、建築設備士を説明する前に建築の設計は大きく3つの分野に分かれていることはご存知でしょうか?建築設計は「意匠設計」「構造設計」「設備設計」という3つに分かれているのです。

意匠設計は外観・内観いわゆるデザインを設計担当です。建築物全体のまとめを担当する場合も多いです。構造設計は、建築物の安全性能を計算する担当です。設備設計は建築物内のインフラ設計を担当します。

意匠設計で全体像をつくり、構造設計で地震や台風等に持つかどうか計算し、人が使えるように各種配管を含む設備を配置するといった流れになります。構造的にもたない意匠で構造設計担当が怒ったり、設備配管が意匠的に問題だといって揉めたり、構造的にダメなところに穴をあけて、大騒ぎになったりということが少なくありません。3者が協調しないと、作る時に大問題なのはいうまでもありません。とはいえ、デザイン、計算、設備配置がすべて得意な人というのは少ないようなので、資格が出来ています。

その一つが建築設備士です。設備設計・工事監理のアドバイスを行う資格です。また、一級建築士で5年実務経験を経て、講習受講と修了考査合格で設備設計一級建築士というのもあります。こちらは同様なもので構造設計一級建築士というのもあり、この2種類は一定規模以上の建築物では資格所有者が構造または設備の各種規程に対する適合性を確認しないといけないことになっています。大きくなればなるほど専門性が高くなるということですね。

また、専攻領域別の建築士もあります。まちづくり、統括設計、構造設計、設備設計、建築生産、棟梁、法令、教育研究の8分野でそれぞれ、○○専攻建築士と呼ばれます。こちらも建築士の免許取得後、一定の実務経験や実績、継続教育単位を取得後、申請登録されるものです。

なお、ちょっと毛色が違うのですが、建築士事務所には管理建築士といって、事務所の技術的な事項を統括する人が必要です。3年以上の実務経験が必要になります。

建築士といっても、設計できる範囲や得意分野があり、ある程度の規模の建築物は専門性を活かして、チームとして設計をしていることが多いのです。

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