今回も建設系資格について紹介します。
前回は環境系資格をを紹介しました。今回は、建設系と離れているわけではないのですが、IT設備に密接に関連している電気・通信系の工事関連資格についてお話しします。
電気工事と通信工事は一般の方には違いがわかりにくいと思いますが、工事内容が異なります。施工管理技士の紹介のところでもお話ししましたが、 電気工事は「強電」と呼ばれる電気をエネルギーとして使うための工事で工場配電、電柱等の送電、発電所といった工事を行うもの、電気通信工事は「弱電」と呼ばれる電気を信号として使うための工事で、電話設備・テレビ関連・ネット設備といった工事を行うものです。
施工管理技士は以前説明したように現場監督が取得する資格ですが、工事を実際に行う人が取得する資格もあります。今回はそのあたりを紹介していきます。まずは電気関連からです。
メインとなるのは電気工事士です。電気工事士は以前紹介しましたが、もう少し詳しく電気工事関連を説明すると電気工事士の第一種と第二種ができない工事があり、そのための資格があります。第二種は以前お話ししたように一般住宅や小規模な店舗、事業所等の一般用とよばれる電気工事、第一種は一般用と自家用で500kw未満でかつ特殊電気工事ではない工事となっています。この特殊電気工事は2種類あって、ネオン工事と非常用予備発電装置工事です。これらは特殊電気工事資格者と呼ばれる国家資格が必要です。
また、工場・ビルなどの自家用電気工作物のうち、600V以下で使用する簡易電気工事用に認定電気工事従業者という国家資格もあります。こちらは第二種電気工事士の免状交付を受けた後に講習を受けることで取得できるので、第一種電気工事士はもっていないが、低圧な自家用電気工作物の工事に携わる必要がある場合に役立ちます。
これとは別に以前紹介した電気主任技術者という資格があります。電気主任術者試験を略して、資格自体を電験と呼ぶことが多いです。電気設備の保安監督を行える国家資格で、第一種、第二種、第三種とあり、電圧に応じて管理できる設備が異なります。ちなみに500kw以上の自家用電気工作物の工事はこの電気主任技術者のもとで実施する必要があります。電気工事施工管理技士と監督しては似たようなイメージですが、電気工事施工管理技士は工事の受注側の監督資格で、電気主任技術者は発注側の監督資格といった違いがあります。
電気主任技術者は600V以上の自家用電気工作物を利用する施設には選任する必要があります。一般的には工場などが多いですが、最近はコンビニで高圧受電を行っている場合があり、ニーズが増えてきているようです。そのため、人気資格になっています。
電気関連の資格はこれ以外にもありますが、この3つが主な資格です。次に通信系です。通信系は電気通信設備工事担任者という資格があります。これも国家資格ですが、認定は総務省になります。記述間違いをしやすいのですが、担当者ではなくて、担任者です。
こちらの資格は公衆回線や通信回線の設備の接続および配線工事の資格です。資格区分が何回か変わっているのですが、令和3年4月より下記の5つに変わりました。(今回紹介のきっかけです)
アナログ信号を入出力する工事に対する資格がアナログ通信で、デジタル信号を入出力する工事に対する資格がデジタル通信、どちらもできるのが総合通信です。アナログ通信とデジタル通信は第一級と第二級があるので、全部で5つとなります。
アナログ通信とはいいながら、アナログ電話回線だけでなく、ISDN回線の工事もこちらの資格区分に含まれます。ブロードバンド回線やネットワーク関連はもちろん、デジタル通信です。
また、こちらにも発注側の監督資格として、電気通信主任技術者があります。総務省認定の国家資格です。資格区別は伝送交換と線路に分かれており、サーバ設備などデータ送受信を行う設備が伝送交換設備、通信ケーブルに関連する設備が線路設備となります。受注側の監督資格は以前紹介した電気通信施工管理技士です。
まとめると電気工事側が
電気工事士:工事実施用(電気工事士法:経済産業省)
電気工事施工管理技士:受注側管理用(建設業法:国土交通省)
電気主任技術者:発注側管理用(電気事業法:経済産業省)
電気通信工事側が
電気通信設備工事担任者:工事実施用(電気通信事業法:総務省)
電気通信施工管理技士:受注側管理用(建設業法:国土交通省)
電気通信主任技術者:発注側管理用(電気通信事業法:総務省)
となります。少しスッキリしたでしょうか?