建設系資格について(その10)

今回も建設系資格について紹介します。

前回も公的資格について、「公共工事に関する調査及び設計等の品質確保に資する技術者資格」いわゆる国土交通省登録資格の点検・診断関連資格や商工会議所の資格について紹介しました。今回は民間資格について紹介します。

前々回にもお話しましたが、公的資格と民間資格の境はあいまいで、地方公共団体や公益法人の資格だけでなく、民間団体の資格でも、各省庁が認定することで公的資格と呼ばれます。逆に言うと民間資格でも業界関係者の認知度が高く、実力を証明する資格として評価されているものがあります。

今回はその中でも土木系では最近特に人気の出てきている資格として、コンクリート診断士・コンクリート技士等コンクリート関連資格を紹介します。

コンクリート診断士・コンクリート技士は、ともに日本コンクリート工学会が認定している資格です。実はコンクリート診断士に関していうと国土交通省登録資格に登録されているので、公的資格といえなくもないのですが、同じ団体が認定しているコンクリート技士が登録されていないこともあるのか、一般的な分類で民間資格で紹介されています。

さて、コンクリート診断士ですが、コンクリートの劣化診断や維持管理に関する提案を行える知識・技術を有した人を認定します。今後、多くの公共施設が老朽化し、維持管理に高度な知識と技術が必要になることからニーズが高く、日経BP社が調査した「役立つ資格」の結果でも上位に入っています。

受験資格としては、実務経験を一定期間積むか、1級建築・土木施工管理技士や技術士、後述するコンクリート技士等特定資格を取得しているかのいずれかになります。

試験内容は40問の四択と1000字の記述になります。コンクリートの変状や劣化の知識、調査や方法の手法、対策・補修方法などコンクリートの維持管理に必要な知識が網羅されており、勉強するだけでも仕事に役に立ちそうです。

コンクリート技士はコンクリート主任技士という上位資格があり、こちらは登録資格には掲載されていないものの国土交通省の土木工事共通仕様書にはコンクリートの工場、設計、施工で能力のある技術者の資格として記載されています。

資格の内容はコンクリート品質や試験関連、配合等製造や施工にかかわるために必要な知識が網羅されており、こちらもコンクリート構造物にかかわる人なら勉強の価値は高いです。(ゼネコンの方だとほぼ必須?)

受験資格はコンクリート診断士とほぼ同じですが、実務経験の期間が少し短いです。試験内容はコンクリート技士が40問の4択と20問の○×、コンクリート主任技士が30問の4択と800字の記述となります。

受験の難易度からすると、コンクリート技士、コンクリート診断士、コンクリート主任技士の順番に受験するといいそうですが、勉強だけなら、仕事で新設が多い方は技士、診断・補修が多い方なら診断士を選ぶといいと思います。基礎知識から見直したのであれば、技士から学んで、主任技士か診断士に分かれるのも手です。

コンクリート関連はほかに、プレストレストコンクリート工学会が認定するプレストレストコンクリート技士やコンクリート構造診断士があります。両方の資格とも登録資格に記載されており、公的資格と呼ばれてもいい民間資格です。

プレストレストコンクリートはコンクリート橋に利用されるコンクリートなので、少し分野は狭いですが、強度計算が重要であり、正確な知識が必要なため、関連業種に携わる方にはお勧めです。コンクリート構造診断士は橋梁やトンネル、ボックスカルバートといった道路構造物を中心とした診断知識の試験なので、コンクリート診断士等を学んだ後に勉強するといいと思います。

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