建設系資格について(その3)

今回も建設系資格について紹介します。

前回は特別教育と技能講習のお話をしました。これらで取得できる資格は現場での機械・器具の操作や作業主任者になるために必要なものです。今回はもう少し補足説明をしてから、現場監督側の資格についてお話します。

作業主任者は労働安全衛生法で定められた労働災害を防止する管理者であり、労働者の指揮・監視等を行う職務です。安衛法で作業主任者は選任する必要があることと安衛則より関係労働者に周知する必要があります。

工事現場に行かれる方はよくご存じだと思いますが、○○作業主任者の職務と書かれた下に作業主任者の氏名が正副で記載できる枠がある看板が現場に掲示されています。これは別に宣伝しているわけではなく、法令上の義務ということです。なお、作業主任者は技能講習で取得することが大半ですが、一部免許を取得しないとなれない作業があります。高圧室内作業やガス溶接、ボイラー等です。

また、作業主任者が必要のない作業でも職長と呼ばれる直接指導をする人が必要です(安衛法第60条)。これは建設業だけでなく、製造業や電気・ガス業でも必要です。なお、職長は特別教育で取得できます。実際は上記作業主任者の方も職長教育は受けていることが多いと思います。

ここまでは、現場で作業に従事する人の話ですが、現場で監督をする人は別の資格が必要になります。それが施工管理技士と呼ばれる資格です。

ちょっと、回り道をしますが、建設業は1社で1つの工事を行うことはほとんどなく、外注業者もしくは協力業者という名前で他社に仕事を外注して、複数の企業で1つの工事を完成させます。この時に元請でかつ外注総額が建築一式なら6千万以上(その他なら4千万以上)を超えるときは監理技術者、それ以下なら主任技術者を現場に配置する必要があります。また、下請企業も主任技術者を現場に配置する必要があります。これらは建設業法で定められています。

念のために補足解説をすると元請とは発注者から直接仕事を受け取る企業を指します。元請から仕事を受け取る企業は下請といいます。下請は元請から最初に受けた企業を1次下請、その企業から仕事を請けた企業は2次下請と呼びます。管理的にも原価的にもあまり望ましくはないのですが、大きな現場では、3次下請、4次下請まであることが少なくありません。なお、元請と下請は建設業に限らず、造船業やIT産業のように複数企業で分担して仕事をする業種では同じ意味です。

話をもとに戻して、監理技術者は専任常駐の義務があります。つまり、工事を請け負うと特定の人がずっとその現場にはりついている必要があるということです。このために、せっかく受注できそうな仕事があっても、監理技術者不足で受注を諦めたという中小建設業者の話は問題となっており、2020年10月より、監理技術者補佐を選任させれば、2つまで兼任できるようになりました。

主任技術者も公共性のある工作物に関する重要な工事では専任の義務があります。この「公共性のある工作物」という文言は単に発注者が国や地方公共団体というだけでなく、鉄道や電気、病院、百貨店、共同住宅、事務所等も含まれています。個人住宅以外はほぼ全部といってもいいかもしれません。「重要な工事」は建築一式なら7000万円以上(その他は3500万円以上)の工事です。つまり、そこそこの規模ならほぼ全部該当するといってもいいと思います。

このように現場監督をするには監理技術者もしくは主任技術者になる必要が高いということです。さて、主任技術者も監理技術者も現場の経験がそれなりにあれば、手続きをして、取得することがで、きますが、大きい現場を元請として、請け負うことが多い企業では
施工管理技士の資格を取得することで監理技術者になっています。下請中心の企業でも外注金額が多いところでは、施工管理技士の資格で主任技術者となります。

回り道といったのは現場を監督するために義務付けられている資格は監理技術者だったり、主任技術者だったりするのですが、この資格を取得するための要件として施工管理技士という資格があり、まずはこちらの取得からする必要があるということです。

次回はこの施工管理技士について、具体的にお話しします。

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